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「Shit!」
「殿!?」
馬の嘶きと共に、砂煙が舞い上がる。
それが収まり視界が開けると、足元に蹲る小さな影がひとつ。
「ったく、怪我はないか?」
「うぇ…」
ひょいと抱え上げて顔を覗き込んだ途端、政宗は心底驚いた。
驚きのあまり、言葉が出ない。
「殿…その子は…」
そろそろと近づいてきた小十郎も、政宗が抱える子供を覗き込む。
そして同じように驚いた顔をして。
「真田…殿…?」
ようやくその一言だけ、口にした。
「しっかしそっくりだな…」
兄がいるとは聞いていたけれど、弟がいたとは聞いていない。
というよりも、そもそも奥州と越後の国境などにいるわけもない。
「ここまで似てると…やっぱ甘いもんとかも好きなのか…」
幸村にそっくりなその子供はまだ泣きやまず、政宗にしがみついていた。
「殿、先ほどの角に茶屋がありましたが…」
「んじゃそこまで戻るか」
とりあえず馬はその辺りの木に繋がせて、泣きじゃくる子供を抱きかかえたまま茶屋へと向かった。
「ほら、泣いてばっかないで食えよ」
とりあえず腰掛けて、頼んだ団子をひとつ皿から取り、子供の前に差し出した。
するとその子供はおずおずと手を伸ばし、まじまじと団子を見つめると、ぱくりと口に入れた。
すると、それまで泣いていたのが、途端にふにゃっと笑顔になる。
(そんなとこまでそっくりかよ…)
苦笑しながら茶を一口飲む。
向かいに腰掛けた小十郎も、同じく苦笑しながら茶を飲んでいた。
子供はといえば、政宗の膝の上に座ったまま、2本目の団子に手を伸ばしていた。
「ほら、ついてるぜ」
「うにゅ?」
口の周りにいっぱいあんこをつけて、子供が見上げてくる。
「………」
何から何までそっくりだ。
眩暈がしそうになりながらも、政宗は口を開いた。
「おまえ、名前は?」
「ゆき」
途端に、向かいの小十郎が飲んでいた茶を吹き出した。
(あぶねぇ…)
きっと自分も、茶を飲んでいたなら同じ羽目になっていただろう。
(名前まで一緒かよ…)
ここまで来ると、赤の他人とは思えない。
嬉しそうに団子を頬張るゆきの髪を、くしゃくしゃっと撫でる。
「ったく、もう二度と急に道に飛び出してなんかくんなよ?」
「う…」
そう言うと、怒られたと思ったのか、途端にゆきの顔がしゅんとなった。
そんな姿に、思わず苦笑いが洩れる。
「怒ってねーよ。危ねーから、気をつけろよ? ゆき」
「うん…」
しおらしく頷いたかと思うと、次の瞬間にはへにゃっと笑った。
ころころ変わる表情に、やはり幸村と重ね合わせてしまう。
「殿、そろそろ参りませんと…」
「ああ、そうだな」
予想外の出来事に、思ったよりも時間を食ってしまった。
これでも忙しい身なのだ、本当は。
「ちゃんと自分で家に帰れるか?」
「うん、かえれるよ」
舌足らずにそう答えるゆきに、もう一度くしゃくしゃと頭を撫でてやる。
「じゃあな、気をつけて帰れよ」
「うんっ」
名残惜しい気はするが、手を振るゆきを見送ってから、馬を繋いでいる街道へと戻っていった。
「しかし…本当にそっくりでしたね」
「ああ」
心なしか声まで似ていたような気がする。
きっと幸村の小さい頃は、ゆきのようだったに違いない。
「いいもん見たぜ」
「では、早々に城に戻りましょう」
「…甲斐に寄っていくかな」
「殿!!!」
背後から小十郎の雷が聞こえてきたけれど、そんなものを意に介する政宗ではない。
胃をキリキリさせる小十郎をその場に残して、馬を走らせる。
方角は勿論、―― 甲斐。
「待ってろよ、幸村」
「今行ってきたばかりではありませぬか、殿ーーーっ!!」
--- 2006.9.17 ---
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真性アスキラー。
思いもよらずダブルOが歴代G
の中で一番好きな状況に。
成層圏の向こう側まで狙い
撃つ兄貴を愛してやまず。
BAS●RAの影響で戦国史に
どっぷり。VIVA眼帯。
えろすきーだけどホモスキー
に非ず。
オフラインでは【絶対零度】
というサークル名で活動中。