神崎廉が今まで書いてきたSS保管庫。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
散る花びら。
変わらない風景。
ここだけは、本当に時が止まってしまったかのようで。
『あの日、時間が止まればよかったのに…』
その涙も、声も。
覚えている。
髪も、肌も。
その温もり、全部。
忘れるわけがない。
「やはり、ここだったのですね…」
「ラクス…」
ふわりと柔らかな笑みを浮かべて、ラクスが声をかける。
彼女もまた、深く傷ついているであろうに。
それを表に出さずに、まるで包み込むように笑いかける。
カガリもそうだ。
彼女達は、強い。
きっと、自分なんかよりも。
「本当、綺麗ですわね。この桜並木」
「はい…」
静かに舞い踊る花弁は、すべてを覆い隠してしまいそうなのに。
「キラの言っていた通りですわ。本当に…」
「………キラは、何て?」
「ここの桜は、とても綺麗で、…そしてとても、悲しいと」
「……」
「それから、貴方は嘘が下手だともおっしゃっていましたわ」
「……え…」
大丈夫だから、と。
何度も何度も言い聞かせた。
キラに、そして自分に。
けれど、キラは優しく笑って。
ぎゅっと、抱きしめてくれた。
包み込むように。
「……キラは」
震える、声。
けれど、誰かに聞いてほしかった。
「キラの時間は、動き出したんです」
原因はわからない。
止まっていたはずの時間。
けれど、あの場所でキラを見つけて。
離れていた時間を埋めるように、躯を重ねて。
……願ったからかも、しれない。
同じ時を重ねたい、と。
強く願って、そして。
その願いは、叶ったのに。
急激に動き出した時間。
それが齎した体の成長は、心臓に多大な負担をかけて。
そして…
「俺は、何を恨めばいいんでしょう?」
何を、恨めば。
そして、
何に、感謝すれば。
「キラに出逢って、一緒にいて。何より、幸せで」
そう。
キラさえ、いれば。
「ヒビキ博士が何を求めて、何を望んだのかわからない。知りたくもない。でも、彼がいたからこそ、俺はキラと逢えた」
見果てぬ幻想(ゆめ)の果てに、生まれてきたキラ。
けれど、だからこそ逢えた。
たとえ、どんな運命に弄ばれても。
それでも、キラがいたから。
「幸せ、だったんです、俺は……」
舞う花弁が、視界を染める。
「キラも、同じですわ」
アスランと共に在ったからこそ、どんな運命にも耐えられた。
それは、傍から見ていてもわかるほど。
互いの想い。
強すぎる絆。
羨ましく、…妬ましいほどに。
けれど、その想いは諸刃の剣。
きっとそれも、わかっているだろう。
だからこそ、キラは託したのだ。
『アスランは、嘘が下手だから…』
「アスラン、貴方は…」
風が、木々を揺らす。
「…俺は、大丈夫です」
強く、アスランが言い放つ。
けれどその瞳は、どこか遠くを見つめていて。
「………」
何かを言いかけて、ラクスは口を閉ざした。
ここから先は、踏み込んではいけない気がしたから。
「では、アスラン。また…」
「……はい」
今はその返事を、信じるしかないのだろう。
ふと見上げた桜は、優しい色を湛えて。
そしてまた、どこか悲しく見えた。
「キラ…」
舞い踊る花弁の向こう、まだ幼い自分たちが向き合って。
「キラ」
その向こう、一筋だけ、涙を流したキラが見つめて。
「キラ……」
そして、振り向いたキラは、自分の許を去った時のままの姿で。
「キラ…!!」
全部、覚えている。
けれどそれは、すべて、想い出の中でしかなくて。
「誰か…、誰か、返してくれ。キラを……っ」
幻でも、いい。
幻でもいいから。
「キラを、俺に返して ―― …」
『アスラン』
会いたい。
触れたい。
でも、その声は。
もう…遠すぎて。
散り急ぐ花びらが、ただ静かに降り積もる。
この場所だけは、変わらずに。
--- 2004/10/7 ---
変わらない風景。
ここだけは、本当に時が止まってしまったかのようで。
『あの日、時間が止まればよかったのに…』
その涙も、声も。
覚えている。
髪も、肌も。
その温もり、全部。
忘れるわけがない。
「やはり、ここだったのですね…」
「ラクス…」
ふわりと柔らかな笑みを浮かべて、ラクスが声をかける。
彼女もまた、深く傷ついているであろうに。
それを表に出さずに、まるで包み込むように笑いかける。
カガリもそうだ。
彼女達は、強い。
きっと、自分なんかよりも。
「本当、綺麗ですわね。この桜並木」
「はい…」
静かに舞い踊る花弁は、すべてを覆い隠してしまいそうなのに。
「キラの言っていた通りですわ。本当に…」
「………キラは、何て?」
「ここの桜は、とても綺麗で、…そしてとても、悲しいと」
「……」
「それから、貴方は嘘が下手だともおっしゃっていましたわ」
「……え…」
大丈夫だから、と。
何度も何度も言い聞かせた。
キラに、そして自分に。
けれど、キラは優しく笑って。
ぎゅっと、抱きしめてくれた。
包み込むように。
「……キラは」
震える、声。
けれど、誰かに聞いてほしかった。
「キラの時間は、動き出したんです」
原因はわからない。
止まっていたはずの時間。
けれど、あの場所でキラを見つけて。
離れていた時間を埋めるように、躯を重ねて。
……願ったからかも、しれない。
同じ時を重ねたい、と。
強く願って、そして。
その願いは、叶ったのに。
急激に動き出した時間。
それが齎した体の成長は、心臓に多大な負担をかけて。
そして…
「俺は、何を恨めばいいんでしょう?」
何を、恨めば。
そして、
何に、感謝すれば。
「キラに出逢って、一緒にいて。何より、幸せで」
そう。
キラさえ、いれば。
「ヒビキ博士が何を求めて、何を望んだのかわからない。知りたくもない。でも、彼がいたからこそ、俺はキラと逢えた」
見果てぬ幻想(ゆめ)の果てに、生まれてきたキラ。
けれど、だからこそ逢えた。
たとえ、どんな運命に弄ばれても。
それでも、キラがいたから。
「幸せ、だったんです、俺は……」
舞う花弁が、視界を染める。
「キラも、同じですわ」
アスランと共に在ったからこそ、どんな運命にも耐えられた。
それは、傍から見ていてもわかるほど。
互いの想い。
強すぎる絆。
羨ましく、…妬ましいほどに。
けれど、その想いは諸刃の剣。
きっとそれも、わかっているだろう。
だからこそ、キラは託したのだ。
『アスランは、嘘が下手だから…』
「アスラン、貴方は…」
風が、木々を揺らす。
「…俺は、大丈夫です」
強く、アスランが言い放つ。
けれどその瞳は、どこか遠くを見つめていて。
「………」
何かを言いかけて、ラクスは口を閉ざした。
ここから先は、踏み込んではいけない気がしたから。
「では、アスラン。また…」
「……はい」
今はその返事を、信じるしかないのだろう。
ふと見上げた桜は、優しい色を湛えて。
そしてまた、どこか悲しく見えた。
「キラ…」
舞い踊る花弁の向こう、まだ幼い自分たちが向き合って。
「キラ」
その向こう、一筋だけ、涙を流したキラが見つめて。
「キラ……」
そして、振り向いたキラは、自分の許を去った時のままの姿で。
「キラ…!!」
全部、覚えている。
けれどそれは、すべて、想い出の中でしかなくて。
「誰か…、誰か、返してくれ。キラを……っ」
幻でも、いい。
幻でもいいから。
「キラを、俺に返して ―― …」
『アスラン』
会いたい。
触れたい。
でも、その声は。
もう…遠すぎて。
散り急ぐ花びらが、ただ静かに降り積もる。
この場所だけは、変わらずに。
--- 2004/10/7 ---
PR
カレンダー
| 05 | 2026/06 | 07 |
| S | M | T | W | T | F | S |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | |
| 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 |
| 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
| 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 |
| 28 | 29 | 30 |
カテゴリー
フリーエリア
最新記事
(06/03)
(06/03)
(06/03)
(06/03)
(06/03)
(06/03)
(06/03)
(06/03)
(06/03)
(06/03)
プロフィール
HN:
神崎 廉
HP:
性別:
非公開
自己紹介:
絵描き兼字書き。
真性アスキラー。
思いもよらずダブルOが歴代G
の中で一番好きな状況に。
成層圏の向こう側まで狙い
撃つ兄貴を愛してやまず。
BAS●RAの影響で戦国史に
どっぷり。VIVA眼帯。
えろすきーだけどホモスキー
に非ず。
オフラインでは【絶対零度】
というサークル名で活動中。
真性アスキラー。
思いもよらずダブルOが歴代G
の中で一番好きな状況に。
成層圏の向こう側まで狙い
撃つ兄貴を愛してやまず。
BAS●RAの影響で戦国史に
どっぷり。VIVA眼帯。
えろすきーだけどホモスキー
に非ず。
オフラインでは【絶対零度】
というサークル名で活動中。
ブログ内検索
アーカイブ
最古記事
(12/14)
(12/15)
(12/15)
(12/15)
(12/15)
(12/15)
(12/15)
(12/15)
(12/15)
(12/15)
アクセス解析