忍者ブログ
神崎廉が今まで書いてきたSS保管庫。
77  78  79  80  81  82  83  84  85  86  87 
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

夢の終わりは、儚くて。
宴の痕の空しさも、また。

 

     ●

 

まるで雲の上を歩いているようだ。
実際は、雲の上など歩けるはずもないのだけれど。
ただの比喩ではあるが、本当にそうであるかのような錯覚に陥るほどに。
覚束ない足取りで、食堂へ向かう。
しかし、実際は食欲など殆どなくて。
原因はわかっている。

ぞく…

考えるまでもない。
つい先程も、受け容れていたばかりで。
思い返しただけで疼く自分の躯に、キラは乾いた笑いを漏らした。

―― 狂ってる。
おそらくは自分も、アスランも。

近頃では、昼も夜も関係ない。
”以前のアスラン”は、皆のいる前でだけで。
けれど、本当は。
自分も、そうなのかもしれない。
アスランが何を考えているか、今はもうわからないけれど。
それでも、自分は。
アスランを求めている。
身も、心も。
全部。


「やぁ…っ、アスラン、も…、や……」
「…そう言う割には腰、動いてるよ。キラ」
涙を滲ませた声で、拒絶の言葉を投げても。
それは容易く否定されて。
わかっていた。
拒絶なんて、本心ではないこと。
自分でも本当はわかっていた。
狭いコクピットの中、背後から回されたアスランの手の中で、自身はもうすでに弾けそうなほどで。
はだけられた軍服の下、アンダーから僅かに覗くそれも、微かな刺激にさえ痛みを覚えるほどに尖りきっていて。
殆ど身動きの取れない体勢のまま、アスランを受け容れていた。
アスランは片手にキラを抱き、もう片方の手で、長い指をキーボードの上に滑らせていた。
キラの肩越しに、涼しい顔でモニターを覗き込んで。
「アスラ…」
焦れたように名前を呼ぶキラの声も、聞こえないかのように。
コクピットに、キーを叩く音と、切れ切れの息の合間に混じる微かな嬌声と、繋がった場所から洩れる水音が混じり合って。
「…アスラン…っ」
もどかしさに思わず声を荒げたキラに、ようやくアスランが気付いたかのようにキーボードを叩く手をとめた。
「何? キラ」
「ふぁ…っ」
それまでキーを弄んでいた指が、おもむろにキラの躯を滑る。
突然の感触に、思わず体が跳ねた。
びくん
その衝撃に、キラはアスランの手の中に熱を吐き出していた。
自分の内でアスランの熱が拡がっていくのを、感じながら。
「…悪い子だな、キラは」
熱で潤み、ぼやけた視界の前にアスランの手が差し出される。
その手には、先ほど吐き出したばかりの熱がたゆとうて。
「これじゃキーが叩けないよ」
楽しそうな口調のまま、アスランがその手をキラの口元に運んだ。
「自分で綺麗にして? キラ」
言われるまま、口を開く。
そして自分の熱にまみれたアスランの指を、ゆっくりと、一本一本丁寧に舐め上げていった。
「…ん……ふ……ぅ…」
熱に浮かされたように、その行為に没頭するキラをじっと見つめていたアスランの顔が歪む。
キラはただひたすら、ぴちゃぴちゃと音を立てながら、愛しそうに、時には口にふくみながら、アスランの指を舐め続けた。
「ん…ぅ……っ」
そんなキラの口から強引に手をどけ、代わりに噛み付くようにキスをした。
粘ついた音を立てながら、舌を絡ませあって。
力が抜けていくキラの体とは正反対に、キラの内に埋めたままの自身は昂りを取り戻していた。
「キラ……」
耳元で囁く声は、自分でも驚くほど優しげで。
「は…ぁ……、…ん……っ」
そして再び、互いの躯を貪りあった。
何度も、何度も。


食堂へと繋がる通路が視界に入る。
食欲はいまだ湧かないけれど、食べられるときに食べておかないといけないということは、否が応でも知っていた。
―― あれから2ヶ月。
連合は不気味なまでに沈黙を保っていた。
嵐の前の静けさだということは、わかりきっていた。
その嵐が、いつ来るのか。
恐らくその嵐が、この戦争の行く末を握る鍵となる。
だから余計に、体調はいつでも万全に整えておかなければならない。
わかっている。

「ふぅ…」
知らず吐いていた溜息。
昔のように、たやすく考えることを放棄できるなら、どんなに楽だろう。
でも、そんなことはもうできない。
それもわかっていた。
(アスラン…)
そんな昔の自分を叱ってくれたのはアスランで。
そしてまた今、一緒にいられて。
(アスラン…っ)
ジャスティスのOSの微調整が終わり次第、アスランもすぐにこちらに向かってくる。
二人分の食事を受け取って待っていよう。
そんなことを思いながら、食堂に足を踏み入れる。
「よ、キラ」
先にいたらしいカガリが、キラの姿を見つけて明るく声をかけた。
「カガリ、お疲……」
けれど、言葉は最後まで続かずに。
「キラ!?」
暗転した視界の中、耳にこだましたカガリの叫びと、そして。
自分の体を抱き上げた腕の強さ。
誰よりもよく知った、その腕の中で、キラは意識を手放した。


--- 2004.5.14 ---

PR
カレンダー
05 2026/06 07
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
フリーエリア
最新記事
(06/03)
(06/03)
(06/03)
(06/03)
(06/03)
(06/03)
(06/03)
(06/03)
(06/03)
(06/03)
プロフィール
HN:
神崎 廉
HP:
性別:
非公開
自己紹介:
絵描き兼字書き。
真性アスキラー。
思いもよらずダブルOが歴代G
の中で一番好きな状況に。
成層圏の向こう側まで狙い
撃つ兄貴を愛してやまず。
BAS●RAの影響で戦国史に
どっぷり。VIVA眼帯。
えろすきーだけどホモスキー
に非ず。
オフラインでは【絶対零度】
というサークル名で活動中。
バーコード
ブログ内検索
アクセス解析
忍者ブログ [PR]
"神崎 廉" WROTE ALL ARTICLES.
PRODUCED BY NINJA TOOLS @ SAMURAI FACTORY INC.