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神崎廉が今まで書いてきたSS保管庫。
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シナジェティックスーツ越しに触れる指先から伝わる熱。
触れられる度、そこから生まれる熱で火傷しそうになるくらいに、熱い。
「いつもより感じてる、一騎」
耳元で囁かれるのも、戦闘の時と同じ。
ただ、違うのは。
そこに確かに、温もりを持った実体があるということ。
「やっぱりシナジェティックスーツ着てるから、かな」
僕と脳内でも繋がってるからね、と言うけれど。
(何言ってるんだ…)
ジークフリードシステムは働いてないじゃないか。
ぼんやりとした頭でそんなことを考える。
シュミレーター用の擬似コクピットの中。
その狭い空間に、本来ならいるはずのない相手が目の前にいて。
そこに充満するのは、衣擦れの音と、通常より熱を増した、互いの息遣い。
その息と、総士の長い髪とが、僅かに露わになっている素肌に触れて。
そこからまた新たに生まれる熱。
全身でその熱に翻弄されながら、それでもやはりわからない。
(何、考えてるんだよ……)

ジークフリードシステムとファフナーは、搭乗者が脳の皮膜神経で繋がっている状態になる。
まるで、自分の考えも何もかも、すべて総士には見られているようで。
けれど、自分からは総士の考えがわからない。
それは、本来わからないものなのかもしれない。
もしくは、総士が遮断しているのかもしれない。
どちらにしろ、戦闘の時も、今も、そう。
総士が何を考えているのか、わからなくて。

「…ぁ……」
休むことなく這い回る総士の指で、すでに躯は余すところなく熱を帯びていた。
それは、躯の奥も同じ。
今以上の刺激を欲して、無意識のうちにもどかしげに腰を揺らしていたらしい。
「もしかして、強請ってる? 一騎」
楽しそうな総士の声が耳元でするのと同時に、猛った己を爪で引っ掻くように、スーツ越しに撫で上げられる。
「……っ、あ…」
思わず震わせた躯。
そして。
ずらしたスーツの隙間から捻じ入れられた総士の熱。
「あ…ぁ、…っ……」
それは、認めたくなくても待ち望んでいたもので。

いつからこの躯はこの痛みに慣れてしまったのだろう。
痛いけれど、 ―― 甘い。
こんな感覚、知らなかったのに。

「どうした、一騎。…挿れただけで達きそう?」
先程よりあからさまに質量を増した自身から溢れ出るもので、スーツに染みを作っていた。
「いいよ、達っても」
そう言うや否や、いきなり最奥を穿たれて。
「………っ」
迸らせた白い熱が、ツ…と肢を伝っていく。
「…ふぁ……ッ」
開放感に酔いしれる暇もなく、達ったばかりの躯の内の総士は容赦なく動き続けて。
内壁を擦られる度に、躯中に痺れが走る。
激しさを増す動きに、それでもこの躯はついていく。
そうして何度も、コクピットに熱を撒き散らした。

荒い息を吐きながら、無造作に投げ出した手に触れた計器は僅かに曇っていたようだった。
「このスーツ、もう使い物にならないな」
襟元を整えながら、総士が白濁にまみれたシナジェティックスーツを見下ろしてぽつりと呟いた。
だからと言って、別段悪びれた様子も見せず、その顔には余裕そうな笑みさえ浮かべて。
「まあ、これくらい安いものだろう」
よりパイロットと一体化して、戦闘で成果を上げるには。
言外に含まれる意味を感じ取った瞬間、ぼんやりとしていた頭にカッと血が昇るのがわかった。
(……なら)
思わずついて出た言葉。
「…なら、他の奴等とも、するのか……」
他のパイロット候補とも。
躯を繋げるのか。
すべて、ファフナーのために。
「だとしたら?」
間髪入れず返ってきた言葉。
それは、どこか冷たさを含んで。

ずきん

「……っ」
昇った血が、今度は急激に凍りついてしまったかのようだ。
言葉が出ない。
体が、まるで鉛でも飲み込んでしまったかのように重かった。
「…俺、着替えてくるから」
震える唇で、それだけどうにか言葉にして。
力の入らない体を叱咤するように、シートから起き上がった。
下腹部に感じる鈍い痛みよりも、他のどこかが痛んだけれど。
それを振り切るかのように、もつれた足で逃げるようにロッカールームに向かった。



     +



覚束ない足取りでロッカーに向かう一騎に、思わず差し出そうとした手を下ろして。
ただ、その背中を見送りながら、誰にも聞き取れないくらいの声で、呟いた。
「そんなわけ、ないだろう…?」
そんなこと、あるはずもない。
一騎以外の相手と、躯を繋げるなどと。
たとえそれが、この島を守るために必要なことだったとしても、それでもそれだけはできない。
一騎は知らない。
この行為の意味も。
自分の本心も。
知ったらもっと軽蔑するだろう。

一騎しか、要らない。

この島だって。
君がいるから、楽園になる。



     +



幸い、ロッカールームには誰もいなかった。
ほっと安堵の息を吐いて、そのままずるずると扉に背を預けて、膝を抱えるように座り込んだ。

ずきん

(まただ…)
体のどこかが、痛い。
言いようのない、痛み。
そして。
「………」
思わず溢れ出した涙。
理由なんて知らない。
けれど、声も上げず、ただこの頬を伝うに任せていた。
どれくらいの時間をそうしていたかわからない。
のろのろと体を起こし、自分のロッカーのドアを開けた。
いつもの私服に着替え終わり、ふと見たドアの裏に備わった鏡の中に映る自分は。
「…ひどい顔してるな、俺」
虚ろな瞳で、心なしか目尻が赤い。
思わず自嘲的な笑みを浮かべようとした、その時。
ふいに感じた、視線。
振り向いた先には、いつの間に来たのか総士が立っていた。
「………」
思わず顔を背け、ロッカールームを後にしようとした背中に、総士が手を伸ばす。
「…触るな……っ」
自分でも驚くほどの剣幕で、振り払った腕。
総士は少しだけ、驚いたように目を見開いて。
(あ…)
ちくり
胸に這い登る罪悪感。
「……っ、…ごめん」
微かな声で謝罪の言葉を口にして、その場で一騎は項垂れた。
ぎり…
握りしめた拳と、噛みしめた唇。
そのどちらも、痛みは感じない。
それほどまでに、体のどこかに走る痛みの方が、酷くて。
「ん…ぅ…」
ふいに上向かされた顔に触れる唇。
それは、嫌になるほどによく知ったもの。
「そんなに噛みしめたら、傷になる」
舌でその痕をなぞって、再び唇を塞ぐ。
無意識のうちに、総士の背中に回していた腕。
そして、無意識のうちに、ぎゅっとその服を握り締めていた。
まるで、縋るように。
総士の腕の中で、齎された安堵。
そして同時に、新たに生まれた痛み。
それはまるで、胸の奥が軋んでいるかのような。


この胸の奥で燻る痛みも。
流した涙も。
生まれる、熱も。
ひとりでは、抱えきれずに。
理由など知らない。
理由など、知りたくない。
今は。
見上げた先に広がる蒼に、呑まれたままでいい。

--- 2004.9.4 / 【初出】総一・一総15禁アンソロ『見果てぬ夢幻』 ---

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プロフィール
HN:
神崎 廉
HP:
性別:
非公開
自己紹介:
絵描き兼字書き。
真性アスキラー。
思いもよらずダブルOが歴代G
の中で一番好きな状況に。
成層圏の向こう側まで狙い
撃つ兄貴を愛してやまず。
BAS●RAの影響で戦国史に
どっぷり。VIVA眼帯。
えろすきーだけどホモスキー
に非ず。
オフラインでは【絶対零度】
というサークル名で活動中。
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