神崎廉が今まで書いてきたSS保管庫。
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「あの人の言った本当の意味、やっとわかったんだ」
『誰もが君のようにありたいと願うだろう』
頭に響く、彼の声。
忘れたくとも、忘れることを許さなかった。
彼もまた、被害者だった。
父の見続けた、幻の。
数多の、罪。
「…わかりたくなんて、なかった……」
思わず洩れた本音に、また涙が零れ落ちる。
(ダメだ…)
泣いたら、アスランが心配する。
それでも、本当はわかっていた。
心配してほしい。
心のどこかでずっと願っていた。
アスランの温もりに飢えていた。
我儘な、想い。
いつも、そう。
自分勝手な想いで、いつも振り回して。
そうしない為に、アスランの許を去ったのに。
……それでも。
「アスランが行っちゃった、あの日」
桜が舞う。
「あの時、時間が止まればよかったのに……」
ひらひら、と。
あの日の、ように。
--- 2004/10/2 ---
『誰もが君のようにありたいと願うだろう』
頭に響く、彼の声。
忘れたくとも、忘れることを許さなかった。
彼もまた、被害者だった。
父の見続けた、幻の。
数多の、罪。
「…わかりたくなんて、なかった……」
思わず洩れた本音に、また涙が零れ落ちる。
(ダメだ…)
泣いたら、アスランが心配する。
それでも、本当はわかっていた。
心配してほしい。
心のどこかでずっと願っていた。
アスランの温もりに飢えていた。
我儘な、想い。
いつも、そう。
自分勝手な想いで、いつも振り回して。
そうしない為に、アスランの許を去ったのに。
……それでも。
「アスランが行っちゃった、あの日」
桜が舞う。
「あの時、時間が止まればよかったのに……」
ひらひら、と。
あの日の、ように。
--- 2004/10/2 ---
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「ごめん、キラ…」
そう言われた途端に、また強く抱きしめられて。
懐かしい温もりが、また伝わってくる。
懐かしい、鼓動と共に。
とくん とくん
ひどく安心できる音。
優しい、音。
そして。
頬を伝わる、自分とは別の温もり。
「アス…」
思わず見上げたアスランの瞳に浮かぶ透明な雫が、自分の頬を濡らしていた。
「ど、して……?」
どうして、アスランが泣くの?
「ごめん…、ごめん……っ」
どうして、アスランが謝るの?
言いたいのに、言葉が出ない。
喉に何か詰まったかのように。
「怖かっただろう…?」
「え…」
抱きしめられる腕に、力がこもる。
「独りで、怖かっただろ……」
「………」
「傍にいられなくて、ごめん」
「……っ」
「独りにして、ごめん……っ」
「…ア、スラン……」
―― 違う。
独りを選んだのは自分。
たとえ真実を知らないとしても、それでもアスランの許を去ったのは自分で。
「なんで…、”最高”なんだろうね…」
それなのに、口をついてでた言葉は別のこと。
「歳を取らないって、…死なないことって、そんなにいいことなのかな…」
時が止まる。
それは、無限の時間を手にすること。
けれど、それはまた。
永遠の、孤独。
それを知ったときの怖さ。
打ち震えた夜に、いつも想うのはアスランで。
自分で選んだのに。
それでもアスランを求めて。
結局何も、変わっていない。
敵対していたときも、そうだった。
けれど、あの時の孤独よりも。
この闇は、深くて。
「キラ…」
暖かい手が、そっと前髪を掻き上げる。
そのまま額に唇を落とされて。
「アスラン……」
見つめるアスランの顔は、青年のもの。
あれから7年経った。
だからアスランは、24歳になった。
そうして自分も、そうなるはずだった。
5ヶ月だけ年上の自分。
同じ時を過ごして。
同じものを見て。
同じものを感じて。
そうして、生きていくはずだった。
ちゃんと自分の足で、歩けるようになったら。
彼の腕に、帰るつもりでいたのに。
もう、できない。
同じ時間を、過ごせない。
--- 2004/10/2 ---
そう言われた途端に、また強く抱きしめられて。
懐かしい温もりが、また伝わってくる。
懐かしい、鼓動と共に。
とくん とくん
ひどく安心できる音。
優しい、音。
そして。
頬を伝わる、自分とは別の温もり。
「アス…」
思わず見上げたアスランの瞳に浮かぶ透明な雫が、自分の頬を濡らしていた。
「ど、して……?」
どうして、アスランが泣くの?
「ごめん…、ごめん……っ」
どうして、アスランが謝るの?
言いたいのに、言葉が出ない。
喉に何か詰まったかのように。
「怖かっただろう…?」
「え…」
抱きしめられる腕に、力がこもる。
「独りで、怖かっただろ……」
「………」
「傍にいられなくて、ごめん」
「……っ」
「独りにして、ごめん……っ」
「…ア、スラン……」
―― 違う。
独りを選んだのは自分。
たとえ真実を知らないとしても、それでもアスランの許を去ったのは自分で。
「なんで…、”最高”なんだろうね…」
それなのに、口をついてでた言葉は別のこと。
「歳を取らないって、…死なないことって、そんなにいいことなのかな…」
時が止まる。
それは、無限の時間を手にすること。
けれど、それはまた。
永遠の、孤独。
それを知ったときの怖さ。
打ち震えた夜に、いつも想うのはアスランで。
自分で選んだのに。
それでもアスランを求めて。
結局何も、変わっていない。
敵対していたときも、そうだった。
けれど、あの時の孤独よりも。
この闇は、深くて。
「キラ…」
暖かい手が、そっと前髪を掻き上げる。
そのまま額に唇を落とされて。
「アスラン……」
見つめるアスランの顔は、青年のもの。
あれから7年経った。
だからアスランは、24歳になった。
そうして自分も、そうなるはずだった。
5ヶ月だけ年上の自分。
同じ時を過ごして。
同じものを見て。
同じものを感じて。
そうして、生きていくはずだった。
ちゃんと自分の足で、歩けるようになったら。
彼の腕に、帰るつもりでいたのに。
もう、できない。
同じ時間を、過ごせない。
--- 2004/10/2 ---
ずっと、ずっと好きだった。
幼い頃から、ずっと一緒で。
共に在ることは、当たり前で。
アスランは、自分という存在の一部だった。
だから、離れ離れになったあの日。
心が千切れるくらいに、痛くて。
そうして、束の間の邂逅は思いもよらぬ結果を齎し。
心に背いて、戦って。
奪い合って。
けれどまた、その手を取ることができた。
いろいろなことがあった。
それでも、一番大切で。
一番、大好きで。
だから。
足枷になど、なりたくなかった。
自分の足で、立つために。
歩んでいく先に、それでもそこにいるのはアスランで。
そう。
アスランが、すべてだった。
けれど、もう。
望めない。
(一緒に、いられない)
触れてくる唇を、そっと押し止めて。
「キラ…?」
「………」
忘れたことなどないその翡翠の瞳に映る、自分の姿。
もう永遠に、変わることなどない。
「キラ」
「………」
一緒に時を重ねたかった。
一番大切な、君と。
「アスラン…」
重ねた唇。
これが、最後。
舞い散る花弁のように。
願いは、風にさらわれて。
--- 2004/10/2 ---
幼い頃から、ずっと一緒で。
共に在ることは、当たり前で。
アスランは、自分という存在の一部だった。
だから、離れ離れになったあの日。
心が千切れるくらいに、痛くて。
そうして、束の間の邂逅は思いもよらぬ結果を齎し。
心に背いて、戦って。
奪い合って。
けれどまた、その手を取ることができた。
いろいろなことがあった。
それでも、一番大切で。
一番、大好きで。
だから。
足枷になど、なりたくなかった。
自分の足で、立つために。
歩んでいく先に、それでもそこにいるのはアスランで。
そう。
アスランが、すべてだった。
けれど、もう。
望めない。
(一緒に、いられない)
触れてくる唇を、そっと押し止めて。
「キラ…?」
「………」
忘れたことなどないその翡翠の瞳に映る、自分の姿。
もう永遠に、変わることなどない。
「キラ」
「………」
一緒に時を重ねたかった。
一番大切な、君と。
「アスラン…」
重ねた唇。
これが、最後。
舞い散る花弁のように。
願いは、風にさらわれて。
--- 2004/10/2 ---
覚えている。
その唇も。
肌の温もりも。
初めて名前を呼んだ時も。
初めて手を繋いだ時も。
初めて、触れ合った時も。
全部、全部覚えている。
「アスラン…」
けれど、もう。
この名前を呼ぶのも、これが本当に最後。
一緒にいたい。
でも、いられない。
敵対したあの頃は、それでも心のどこかに身勝手な希望があったけれど。
それすらも、もう、ないから。
だから、そっと体を離してその腕を振り解こうとしたのに。
「行かせない」
アスランが強い語調で言い放つ。
「どこにも行かせない」
真っ直ぐに、見つめて。
「けど、僕は…っ」
「言っただろう? もう二度と手放す気はないって」
そう言って、痛いくらいに抱きしめる。
その温もりと言葉に、眩暈がしそうなほど。
「だけど…っ」
「傍にいたい」
それまでの激しさから一転して、アスランの声が静かに語りかける。
「おまえがいなきゃ…生きられない……」
「……っ」
それは、自分も同じ。
けれど、自分は。
たとえ、アスランを失ったとしても。
「エゴだって、わかってるさ…」
いつかは、別れの日が来る。
それは、自然の摂理。
造られた自分以外のものにとっての。
だから、やがて来るその日の後。
残された、自分は ―― …
「けど、それでも俺は…っ」
「ア、スラン…」
それでも。
「傍にいて」
「アスラン…」
「傍に、いさせて。キラ…」
……いつかは。
永遠の別れが来る。
耐えられないかもしれない。
それでも、その先に待つのは永遠の孤独。
だけど、今だけ。
今だけで、いい。
傍にいたい。
一緒に、生きたい。
「一緒に、生きよう?」
―― それは。
永遠の、誓い。
--- 2004/10/2 ---
その唇も。
肌の温もりも。
初めて名前を呼んだ時も。
初めて手を繋いだ時も。
初めて、触れ合った時も。
全部、全部覚えている。
「アスラン…」
けれど、もう。
この名前を呼ぶのも、これが本当に最後。
一緒にいたい。
でも、いられない。
敵対したあの頃は、それでも心のどこかに身勝手な希望があったけれど。
それすらも、もう、ないから。
だから、そっと体を離してその腕を振り解こうとしたのに。
「行かせない」
アスランが強い語調で言い放つ。
「どこにも行かせない」
真っ直ぐに、見つめて。
「けど、僕は…っ」
「言っただろう? もう二度と手放す気はないって」
そう言って、痛いくらいに抱きしめる。
その温もりと言葉に、眩暈がしそうなほど。
「だけど…っ」
「傍にいたい」
それまでの激しさから一転して、アスランの声が静かに語りかける。
「おまえがいなきゃ…生きられない……」
「……っ」
それは、自分も同じ。
けれど、自分は。
たとえ、アスランを失ったとしても。
「エゴだって、わかってるさ…」
いつかは、別れの日が来る。
それは、自然の摂理。
造られた自分以外のものにとっての。
だから、やがて来るその日の後。
残された、自分は ―― …
「けど、それでも俺は…っ」
「ア、スラン…」
それでも。
「傍にいて」
「アスラン…」
「傍に、いさせて。キラ…」
……いつかは。
永遠の別れが来る。
耐えられないかもしれない。
それでも、その先に待つのは永遠の孤独。
だけど、今だけ。
今だけで、いい。
傍にいたい。
一緒に、生きたい。
「一緒に、生きよう?」
―― それは。
永遠の、誓い。
--- 2004/10/2 ---
いっぱい話した。
7年の間に起こった、様々なこと。
そして、アスランの許を去った訳。
「馬鹿だな」
そう言って、いつものように小さく溜息を吐きながら。
こつんと、軽く拳骨をくれた。
「おまえがいなきゃダメなのは、寧ろ俺だよ」
苦笑しながら、拳骨をくれた額にそっと今度は唇を落として。
あれから、何度も躯を重ねた。
7年の月日を、取り戻すかのように。
本当は、ずっと飢えていた。
欲しかった。
互いが、欲しくて堪らなかった。
だから。
「おいで、キラ」
「ん…」
同性同士の、交わり。
何も生み出さない、非生産的な行為。
けれど自分たちには、意味があるから。
「や…、ぁ……、あ、ン…っ」
「キラ、ここ好きだろ?」
「ば、バ…カ……っ、ぁ……」
何度も繋がって。
ひとつになって。
互いの存在を、確認して。
「気持ち、いい…?」
「うん……」
余裕のなさそうな顔も。
感じきった表情(かお)も。
お互いだけが、知っている。
誰にともなく、感じる優越。
数え切れぬほど、肌を重ねているのに。
それでも終わったときは、なんだか照れくさくて。
幸せ、だった。
失う怖さは勿論ある。
いつでもその怖さはついてまわったけれど。
それでも幸せだった。
アスランがいるから。
…けれど。
ずきん
心のどこかが、痛かった。
--- 2004/10/2 ---
7年の間に起こった、様々なこと。
そして、アスランの許を去った訳。
「馬鹿だな」
そう言って、いつものように小さく溜息を吐きながら。
こつんと、軽く拳骨をくれた。
「おまえがいなきゃダメなのは、寧ろ俺だよ」
苦笑しながら、拳骨をくれた額にそっと今度は唇を落として。
あれから、何度も躯を重ねた。
7年の月日を、取り戻すかのように。
本当は、ずっと飢えていた。
欲しかった。
互いが、欲しくて堪らなかった。
だから。
「おいで、キラ」
「ん…」
同性同士の、交わり。
何も生み出さない、非生産的な行為。
けれど自分たちには、意味があるから。
「や…、ぁ……、あ、ン…っ」
「キラ、ここ好きだろ?」
「ば、バ…カ……っ、ぁ……」
何度も繋がって。
ひとつになって。
互いの存在を、確認して。
「気持ち、いい…?」
「うん……」
余裕のなさそうな顔も。
感じきった表情(かお)も。
お互いだけが、知っている。
誰にともなく、感じる優越。
数え切れぬほど、肌を重ねているのに。
それでも終わったときは、なんだか照れくさくて。
幸せ、だった。
失う怖さは勿論ある。
いつでもその怖さはついてまわったけれど。
それでも幸せだった。
アスランがいるから。
…けれど。
ずきん
心のどこかが、痛かった。
--- 2004/10/2 ---
胸を刺す、小さな痛み。
けれど、我慢できた。
アスランの、傍にいられるのなら。
よく知った、アスランの温もり。
けれど、その肩も胸も、7年前より、広くて。
(当たり前じゃないか…)
ふいに目の当たりにする現実。
胸に去来する寂しさは、どうしようもないものだとわかっているけれど。
「…僕も、大人になりたかった」
思わず口にした本音に、抱きしめるアスランの腕がぴくりと震えた。
(馬鹿…っ)
自分の迂闊さが憎らしい。
アスランを困らせてどうする。
「……俺も、キラと一緒だったらよかったのに」
それなのに、アスランの声音は。
すべて包み込むように、優しくて。
「そしたら永遠に、キラと一緒にいられるのに」
「アスラン…」
もし、そうなら。
アスランも、時の牢獄に繋がれることになるのに。
狂いそうになるくらいの、長い長い、時を。
それでも、一緒にいられるならば。
「でも俺には、それができない」
「……っ」
そう、それが現実。
「どんどん年老いて、おまえ一人置いて、先に逝く」
「………」
心臓が冷えていくような錯覚に陥るけれど。
(いっそ…)
本当に、凍えてしまえばいいのに。
「けど、それでも。俺はおまえの傍にいるから」
「アスラン」
「俺の我儘だ。わかっててもどうしようもない。おまえの傍に、いたい」
「アスラン……」
抱きしめられる腕に、また力がこもる。
この腕に、現実も、自分も受け止めて。
知っていた。
アスランも痛みを抱えている。
自分を置いていくということ。
その、罪悪感に。
(そんなもの、感じる必要ないのに)
我儘なのは自分の方。
そして、そう思いながらも。
アスランがそう思うことに、喜びを覚える自分がいた。
(でも…)
それでも、あの頃のように。
一緒に、時を重ねたい。
同じように。
無理な願いだと、知っていても。
ずきん
痛みは、日毎に増していった。
--- 2004/10/2 ---
けれど、我慢できた。
アスランの、傍にいられるのなら。
よく知った、アスランの温もり。
けれど、その肩も胸も、7年前より、広くて。
(当たり前じゃないか…)
ふいに目の当たりにする現実。
胸に去来する寂しさは、どうしようもないものだとわかっているけれど。
「…僕も、大人になりたかった」
思わず口にした本音に、抱きしめるアスランの腕がぴくりと震えた。
(馬鹿…っ)
自分の迂闊さが憎らしい。
アスランを困らせてどうする。
「……俺も、キラと一緒だったらよかったのに」
それなのに、アスランの声音は。
すべて包み込むように、優しくて。
「そしたら永遠に、キラと一緒にいられるのに」
「アスラン…」
もし、そうなら。
アスランも、時の牢獄に繋がれることになるのに。
狂いそうになるくらいの、長い長い、時を。
それでも、一緒にいられるならば。
「でも俺には、それができない」
「……っ」
そう、それが現実。
「どんどん年老いて、おまえ一人置いて、先に逝く」
「………」
心臓が冷えていくような錯覚に陥るけれど。
(いっそ…)
本当に、凍えてしまえばいいのに。
「けど、それでも。俺はおまえの傍にいるから」
「アスラン」
「俺の我儘だ。わかっててもどうしようもない。おまえの傍に、いたい」
「アスラン……」
抱きしめられる腕に、また力がこもる。
この腕に、現実も、自分も受け止めて。
知っていた。
アスランも痛みを抱えている。
自分を置いていくということ。
その、罪悪感に。
(そんなもの、感じる必要ないのに)
我儘なのは自分の方。
そして、そう思いながらも。
アスランがそう思うことに、喜びを覚える自分がいた。
(でも…)
それでも、あの頃のように。
一緒に、時を重ねたい。
同じように。
無理な願いだと、知っていても。
ずきん
痛みは、日毎に増していった。
--- 2004/10/2 ---
目覚めたときに感じるのは、空っぽの自分。
真実を知ってからの朝は、いつもそう。
この心に日が昇ることは、なかった。
けれど、今は違う。
窓から射す日の光。
アスランの温もりを感じて。
幸福と、…一抹の寂しさと。
そして。
小さな、痛み。
「おはよう、キラ」
重い瞼を上げると、綺麗な翡翠の瞳がこちらをじっと見つめていて。
「おはよ、アスラ…」
名前を呼ぶ途中で、その柔らかい唇に邪魔される。
暖かい、朝。
そっと体を起こす。
ずきん
「…痛…っ」
思わず顔を顰めると、アスランが心配そうに手を伸ばしてくる。
「大丈夫か? キラ」
「うん…」
なんだろう。
全身に走った痛みは、一瞬のもので。
下腹部に残る鈍痛とは、また別のものだった。
「…やっぱり、その…」
アスランが言いにくそうに言い淀む。
何を言いたいかを察して、思わず頬が熱くなった。
「ば、馬鹿! 違うってば!!」
思わず側に転がっていた枕をアスランに投げつける。
アスランの顔面に見事にクリーンヒットしたそれが、ぼすんと音を立ててシーツに落ちた。
「キ~ラ~」
「だ、だって…」
慌てるキラを、アスランはひょいと抱え上げる。
「とりあえず、シャワー浴びようか」
「う…、うん……」
熱いお湯が、体中に染み入るようだった。
昨夜の残滓が、洗い落とされていく。
「あ、自分で、する、から…」
アスランの手を押し止めて、自らの指で名残を内から掻き出していく。
シャワーのせいだけじゃない。
内側から火照る肌。
洗っているだけだ。
けれど、その様は。
まるで、自らを犯しているようで。
アスランの視線に、猥らな自分を晒しているようで。
触れてもいないのに、緩々と勃ち上がる己。
そして、アスラン自身も、また。
「キラ…」
名前を呼ぶ声が、掠れている。
「アスラ、ン…」
誘ったわけではない。
けれど、いつの間にかそれは前戯にすり替わって。
「キラ…っ」
肢を伝う滴は、シャワーのものだけではなく。
「あ、あ…ん、ぁ、くぅ…」
貫かれたそこから、とめどなく溢れ出していく。
そのまま何度も限界を迎えて。
気付いた時にはバスタオルで包まれていた。
心配そうに顔を覗き込むアスランの髪から、滴が滴り落ちる。
「大丈夫か? キラ」
少しだけ申し訳なさそうに、アスランが訊いてくる。
「…大丈夫なわけない」
だから、少しだけむくれたように、言い返してみる。
体は綺麗に洗って拭いていてくれたらしく、アスランが抱きしめてくれているから寒くはなかった。
まだちょっと拗ねたまま、体を離して着替えを手にする。
「…覗いちゃダメだよ?」
「……今更?」
ぼすっとバスタオルを投げつけてから、カーテンを引く。
向こうからやれやれと溜息が聞こえてきたけれど、それさえなんだかくすぐったくて。
暖かい気持ちのまま、着替え始めた。
「………っ」
「…キラ?」
息を呑む音が聞こえたのかもしれない。
けれど、心配そうなアスランの声も耳には届かなかった。
昨日身に着けていたはずのズボン。
その丈は、僅かに短くなっていて。
外は、いつの間にか雨が降り出していた。
--- 2004/10/2 ---
真実を知ってからの朝は、いつもそう。
この心に日が昇ることは、なかった。
けれど、今は違う。
窓から射す日の光。
アスランの温もりを感じて。
幸福と、…一抹の寂しさと。
そして。
小さな、痛み。
「おはよう、キラ」
重い瞼を上げると、綺麗な翡翠の瞳がこちらをじっと見つめていて。
「おはよ、アスラ…」
名前を呼ぶ途中で、その柔らかい唇に邪魔される。
暖かい、朝。
そっと体を起こす。
ずきん
「…痛…っ」
思わず顔を顰めると、アスランが心配そうに手を伸ばしてくる。
「大丈夫か? キラ」
「うん…」
なんだろう。
全身に走った痛みは、一瞬のもので。
下腹部に残る鈍痛とは、また別のものだった。
「…やっぱり、その…」
アスランが言いにくそうに言い淀む。
何を言いたいかを察して、思わず頬が熱くなった。
「ば、馬鹿! 違うってば!!」
思わず側に転がっていた枕をアスランに投げつける。
アスランの顔面に見事にクリーンヒットしたそれが、ぼすんと音を立ててシーツに落ちた。
「キ~ラ~」
「だ、だって…」
慌てるキラを、アスランはひょいと抱え上げる。
「とりあえず、シャワー浴びようか」
「う…、うん……」
熱いお湯が、体中に染み入るようだった。
昨夜の残滓が、洗い落とされていく。
「あ、自分で、する、から…」
アスランの手を押し止めて、自らの指で名残を内から掻き出していく。
シャワーのせいだけじゃない。
内側から火照る肌。
洗っているだけだ。
けれど、その様は。
まるで、自らを犯しているようで。
アスランの視線に、猥らな自分を晒しているようで。
触れてもいないのに、緩々と勃ち上がる己。
そして、アスラン自身も、また。
「キラ…」
名前を呼ぶ声が、掠れている。
「アスラ、ン…」
誘ったわけではない。
けれど、いつの間にかそれは前戯にすり替わって。
「キラ…っ」
肢を伝う滴は、シャワーのものだけではなく。
「あ、あ…ん、ぁ、くぅ…」
貫かれたそこから、とめどなく溢れ出していく。
そのまま何度も限界を迎えて。
気付いた時にはバスタオルで包まれていた。
心配そうに顔を覗き込むアスランの髪から、滴が滴り落ちる。
「大丈夫か? キラ」
少しだけ申し訳なさそうに、アスランが訊いてくる。
「…大丈夫なわけない」
だから、少しだけむくれたように、言い返してみる。
体は綺麗に洗って拭いていてくれたらしく、アスランが抱きしめてくれているから寒くはなかった。
まだちょっと拗ねたまま、体を離して着替えを手にする。
「…覗いちゃダメだよ?」
「……今更?」
ぼすっとバスタオルを投げつけてから、カーテンを引く。
向こうからやれやれと溜息が聞こえてきたけれど、それさえなんだかくすぐったくて。
暖かい気持ちのまま、着替え始めた。
「………っ」
「…キラ?」
息を呑む音が聞こえたのかもしれない。
けれど、心配そうなアスランの声も耳には届かなかった。
昨日身に着けていたはずのズボン。
その丈は、僅かに短くなっていて。
外は、いつの間にか雨が降り出していた。
--- 2004/10/2 ---
「キ、ラ…」
「ア、アス…ラ、ン……っ、ぁあ、あっ」
打ちつけられる度にそこから溢れる水音と雫。
獣じみた行為なのに、どうして、神聖な儀式みたいに感じるのだろう。
躯の内も、心も。
アスランでいっぱいになって。
アスランだけを感じて。
「もっと、して……?」
壊れるほど、抱いて?
「キラ」
強請ると、内のアスランが質量を増す。
「う、ぅん…、ぁ……ん」
堪えきれずに、焦れたように腰を揺らすと、繋がったまま、前を向かされて。
「キラ…」
「…アス、ラン」
余裕なさそうな表情(かお)のアスランが、貪るように口づけてくる。
「…ふ、ぁ……あ、あ…」
膝が枕元につくくらいに、脚を抱え上げられて。
より深く繋がるように、抉るように突き上げられた。
「キラ」
「ぁ、あ…、っ……、アスラ…っ」
アスランは、激しいけれど、優しい。
体中、汗と互いの熱で汚れて。
決して綺麗なものなんかではないけれど。
それでも、とても、神聖なものだった。
痛みは消えることはなく、寧ろ、日に日に広がって。
理由などわからない。
感じるのは、一瞬。
けれど、体中が悲鳴を上げるように痛い。
全身、引き裂かれそうなほど。
大概感じるのは朝だった。
(なん、だろう…)
病院に罹ることなど無理だった。
それに。
(心配、かけたくない…)
ただでさえ、アスランと一緒にいられる時間は限られているのだ。
だから、こんなことで時間を取られたくなどない。
(傍に、いたいんだ……)
安らかな寝息を立てる唇に、そっと触れるだけのキスを落とす。
「好き…」
思わず零れ出た言葉に、はっと口許を押さえた。
顔が赤くなるのが自分でわかる。
今更とは思うけれど、それでもやっぱり照れくさくて。
(シャワー、浴びてこよう)
脱ぎ散らかしたシャツを手に、バスルームに向かう。
熱いシャワーを浴びて、着替えたときに感じた違和感。
(…また…?)
少し大きめだったはずのシャツは、何故かちょうどよくなっていて。
(まさか…)
思わず鏡を見遣る。
そして……
「………っ」
気のせいかもしれない。
けれど。
そこにいたのは、少しだけ大人びた自分だった。
--- 2004/10/2 ---
「ア、アス…ラ、ン……っ、ぁあ、あっ」
打ちつけられる度にそこから溢れる水音と雫。
獣じみた行為なのに、どうして、神聖な儀式みたいに感じるのだろう。
躯の内も、心も。
アスランでいっぱいになって。
アスランだけを感じて。
「もっと、して……?」
壊れるほど、抱いて?
「キラ」
強請ると、内のアスランが質量を増す。
「う、ぅん…、ぁ……ん」
堪えきれずに、焦れたように腰を揺らすと、繋がったまま、前を向かされて。
「キラ…」
「…アス、ラン」
余裕なさそうな表情(かお)のアスランが、貪るように口づけてくる。
「…ふ、ぁ……あ、あ…」
膝が枕元につくくらいに、脚を抱え上げられて。
より深く繋がるように、抉るように突き上げられた。
「キラ」
「ぁ、あ…、っ……、アスラ…っ」
アスランは、激しいけれど、優しい。
体中、汗と互いの熱で汚れて。
決して綺麗なものなんかではないけれど。
それでも、とても、神聖なものだった。
痛みは消えることはなく、寧ろ、日に日に広がって。
理由などわからない。
感じるのは、一瞬。
けれど、体中が悲鳴を上げるように痛い。
全身、引き裂かれそうなほど。
大概感じるのは朝だった。
(なん、だろう…)
病院に罹ることなど無理だった。
それに。
(心配、かけたくない…)
ただでさえ、アスランと一緒にいられる時間は限られているのだ。
だから、こんなことで時間を取られたくなどない。
(傍に、いたいんだ……)
安らかな寝息を立てる唇に、そっと触れるだけのキスを落とす。
「好き…」
思わず零れ出た言葉に、はっと口許を押さえた。
顔が赤くなるのが自分でわかる。
今更とは思うけれど、それでもやっぱり照れくさくて。
(シャワー、浴びてこよう)
脱ぎ散らかしたシャツを手に、バスルームに向かう。
熱いシャワーを浴びて、着替えたときに感じた違和感。
(…また…?)
少し大きめだったはずのシャツは、何故かちょうどよくなっていて。
(まさか…)
思わず鏡を見遣る。
そして……
「………っ」
気のせいかもしれない。
けれど。
そこにいたのは、少しだけ大人びた自分だった。
--- 2004/10/2 ---
もしもこの世に、神様なんているのなら。
僕を、救けて。
永遠の命なんていらない。
そんなもの、いらないから。
だから、どうか。
大好きな人と、同じ時を重ねさせて。
止まった時間を、動かして。
(まさか…)
気のせい、なのだろうか。
でも、もしも。
(気のせいじゃ、なかったら…?)
逸る気持ちを抑えるのが難しい。
もしも、”成長”しているのだとしたら。
それならば、あの痛みにも説明がつく。
所謂”成長痛”というものだろう。
鼓動が速くなる。
立っていられないほど、全身が震えて。
(嬉しい…、嬉しい……!!)
成長している。
それは、即ち。
時の檻から解放されること。
アスランと、同じ時を重ねることができるということ。
(アスラン…!)
どくん
鼓動が、一際大きく鳴る。
(え…?)
その直後に襲った痛みは、今までのものとは比較にならぬほどで。
「……っ!?」
声にならない。
嫌な汗が体中を伝って、全身に力が入らない。
足は体を支えきれずに、がくんと膝を折った。
口から洩れるのは、ただひゅーひゅーと音のする息だけで。
震える指で、シャツを握り締めた。
左胸の上を。
シャツを破りそうなほどに、強く。
(……痛い…)
心臓が、押し潰されそうなほどに痛くて。
(アスラン…)
唇で形作った名前は、言葉にはならずに。
そのまま、キラは意識を手放した。
--- 2004/10/2 ---
僕を、救けて。
永遠の命なんていらない。
そんなもの、いらないから。
だから、どうか。
大好きな人と、同じ時を重ねさせて。
止まった時間を、動かして。
(まさか…)
気のせい、なのだろうか。
でも、もしも。
(気のせいじゃ、なかったら…?)
逸る気持ちを抑えるのが難しい。
もしも、”成長”しているのだとしたら。
それならば、あの痛みにも説明がつく。
所謂”成長痛”というものだろう。
鼓動が速くなる。
立っていられないほど、全身が震えて。
(嬉しい…、嬉しい……!!)
成長している。
それは、即ち。
時の檻から解放されること。
アスランと、同じ時を重ねることができるということ。
(アスラン…!)
どくん
鼓動が、一際大きく鳴る。
(え…?)
その直後に襲った痛みは、今までのものとは比較にならぬほどで。
「……っ!?」
声にならない。
嫌な汗が体中を伝って、全身に力が入らない。
足は体を支えきれずに、がくんと膝を折った。
口から洩れるのは、ただひゅーひゅーと音のする息だけで。
震える指で、シャツを握り締めた。
左胸の上を。
シャツを破りそうなほどに、強く。
(……痛い…)
心臓が、押し潰されそうなほどに痛くて。
(アスラン…)
唇で形作った名前は、言葉にはならずに。
そのまま、キラは意識を手放した。
--- 2004/10/2 ---
この世に完全なものなど存在しない。
人は、神になることなんて、できない。
それでも人は、求めるのか。
完全なるものを。
神という存在に、なることを。
声を聞いた気がした。
まだ幼い、彼の声。
『…泣かないで』
優しい、声。
『ずっと一緒にいるから。だから』
変わらず、大好きな。
『泣かないで、キラ』
ずっと、大好きな……
アスラン。
「キラ」
開いた目に飛び込んできたのは、見慣れた天井。
そして、頬に感じる温もり。
それは、よく知った手の温もりと、自分の瞳から零れ続ける涙。
「アス…ラン……?」
体が思うように動かない。
顔だけ動かして、その声の主を見る。
その顔は、酷く憔悴しているように見えて。
「僕…」
「…脱衣所で、倒れたんだ、おまえ……」
言いかけた言葉を引き継いで、アスランが教えてくれた。
「気分、どうだ?」
「……よく、わかんない…」
先程のような痛みは感じない。
けれど、なんとなく体が重い。
気分は、決してよくはないのだろう。
自分のことなのに、よく、わからなくて。
だから、素直にそのままを伝えた。
「もう少し、横になってた方がいい」
するとアスランは、優しい眼差しでそっと髪を梳いてくれた。
昔、寝込んだときに、よくしてくれたように。
「アスラン…」
名前を呼ぶと、何故かまた一筋涙が零れた。
(あ…)
そして、唐突に知ってしまった。
もうひとつの、真実。
--- 2004/10/7 ---
人は、神になることなんて、できない。
それでも人は、求めるのか。
完全なるものを。
神という存在に、なることを。
声を聞いた気がした。
まだ幼い、彼の声。
『…泣かないで』
優しい、声。
『ずっと一緒にいるから。だから』
変わらず、大好きな。
『泣かないで、キラ』
ずっと、大好きな……
アスラン。
「キラ」
開いた目に飛び込んできたのは、見慣れた天井。
そして、頬に感じる温もり。
それは、よく知った手の温もりと、自分の瞳から零れ続ける涙。
「アス…ラン……?」
体が思うように動かない。
顔だけ動かして、その声の主を見る。
その顔は、酷く憔悴しているように見えて。
「僕…」
「…脱衣所で、倒れたんだ、おまえ……」
言いかけた言葉を引き継いで、アスランが教えてくれた。
「気分、どうだ?」
「……よく、わかんない…」
先程のような痛みは感じない。
けれど、なんとなく体が重い。
気分は、決してよくはないのだろう。
自分のことなのに、よく、わからなくて。
だから、素直にそのままを伝えた。
「もう少し、横になってた方がいい」
するとアスランは、優しい眼差しでそっと髪を梳いてくれた。
昔、寝込んだときに、よくしてくれたように。
「アスラン…」
名前を呼ぶと、何故かまた一筋涙が零れた。
(あ…)
そして、唐突に知ってしまった。
もうひとつの、真実。
--- 2004/10/7 ---
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自己紹介:
絵描き兼字書き。
真性アスキラー。
思いもよらずダブルOが歴代G
の中で一番好きな状況に。
成層圏の向こう側まで狙い
撃つ兄貴を愛してやまず。
BAS●RAの影響で戦国史に
どっぷり。VIVA眼帯。
えろすきーだけどホモスキー
に非ず。
オフラインでは【絶対零度】
というサークル名で活動中。
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