[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
僕の名前は皆城総士。
学級委員を務めるぴちぴちの14歳(誕生日目前)だ。
そしてまた、この竜宮島を守るため、ファフナーの指揮系統を司るジークフリードシステムを扱える唯一の存在でもある。(←説明的)
ちょっと今はわけあって、このジークフリードシステム内に閉じ込められている最中だ。
……という前ふりも、一体これで何度目だろうか…(遠い目)
あんまりにも暇すぎる。
というより、生の一騎に早く会いたい。
会って、触れて、そして…
…うっ。
しまった、この状態では手が使えないからどうにも痛(以下略)
…ごほん。
ふっ…、僕としたことが。
この失態(←むしろ醜態)も一体何度目だろう。
一騎…
今、どうしているのだろうか。
まさかフェストゥムに捕らえられて、捕虜になどされてないだろうか。
いや、待て。
フェストゥムに”捕虜”という概念はないか。
…いや、待て待て。
フェストゥムは急速に我々人間のことを学んでいっている。
マスター型ともなれば、人間を捕獲し捕虜にすることもできないこともない。
―― そう、例えばこんな風に。
「うっ…」
「ふん、大人しくするんだな」
「俺をどうする気だ!?」
後ろ手に縛り上げられ、床に転がされながらも、一騎は気丈にそのマスター型フェストゥムを睨み上げた。
そんな様子を、フェストゥムは口元を歪め、冷たく見下ろしている。
「どうする気も何も、捕虜の扱いというものはこういうものなんだろう? おまえたち、人間というものは」
そう言うや否や、いきなり屹立した自身を取り出した。
「捕虜というものは、いたぶり、嬲って、それから犯す。そうだろう?」
「どっから仕入れてきたんだよ、そんな知識っ!?」
慌てるというよりも、むしろ呆れて一騎が問い返せば。
「…という風に、この男の脳にはあったのだがな」
マスター型が突然金色に輝きだしたかと思うと、ぐにゃりとその輪郭は歪み、その姿を変えていく。
「え…、そ、総士!?」
呆然とその姿を見つめる一騎ににやりと笑いかけると、
「う、…ぐ…っ」
一騎の口に無理矢理怒張したそれを捩じ込んだ。
「む…ぅ……っ」
「歯は立てるなよ」
一騎の瞳に涙が滲む。
それは生理的なものだけではないだろう。
「ほら、ちゃんと舌を使え」
「…っ……」
一騎の髪を掴んで、荒々しく抜き挿しを繰り返していたそれを、一騎の目の高さまで運ぶ。
「どこをどうすればいいかなんて、よく知ってるんだろう?」
「………」
口元から零れた唾液を拭うこともできず、一騎はぼんやりとそれを見つめ。
それから力なく、口を開いた。
そこから覗く赤い舌は、唾液と散々口内を蹂躙した先走りの所為で妖しく光っていた。
その舌に絡ませるように、再度口へと運ぶ。
「…ふ……、ん…」
「…慣れたものだな」
生気を失くした瞳で、一騎はその行為に没頭していた。
溢れる先走りを掬い上げるように舌を絡ませ、裏筋を舐め上げる。
総士の顔が歪んだかと思うと、
「んぅ…っ…!?」
唐突に一騎の口からそれを引き抜き、一騎の顔に白濁した熱を撒き散らした。
「あ……」
一騎はただ呆然と、その熱さを感じていたのだが。
「うん? おまえは男のモノをしゃぶるだけで感じるのか?」
「え…」
総士の視線を緩々と辿ると。
「………っ」
「とんだ淫乱で変態だな、おまえは」
勃ち上がった己から溢れ出る先走りが、シナジェティックスーツに隠せないほどの染みを作っていた。
「違…っ」
途端に一騎の頬に朱が散った。
それまでの朦朧とした意識を振り払うかのように、強く頭を振る。
「何が違うんだ?」
「あ…」
総士は冷ややかに見下し、徐にシナジェティックスーツの間に指を挿し入れた。
「こんなに漏らして。悪い子だな、一騎は」
「………っ」
引き抜いた指を一騎に翳す。
その指に絡まった透明な液体は、粘ついたように糸を引いて。
「ん…ぅ!?」
今度は、その指で一騎の口腔を犯してみる。
またしても苦しげに、一騎の瞳に涙が浮かんだ。
「こうもぬるぬるだと、すんなり挿ってあまり面白くなさそうだが…」
「!?」
その言葉に、瞬時に一騎の顔から血の気が引く。
それにも一向に構わず、総士は縛り上げた一騎の腕をひっぱり、秘所を目の前に突き出すような格好にさせた。
「今度は中で出させてもらう」
「やめ…っ」
再び怒張したものを一騎の入口へとあてがい、そして……
「なんてこと考えてんだよ、この馬鹿総士ーーーーーっ!!」
スパーン
とてつもなく良い音が響いたかと思うと、頭に激痛が走る。
「か、一騎…!?」
「”一騎!?”じゃない、この馬鹿!!」
見ると、真っ赤な顔をした一騎が何故かハリセンを持って立っていた。
「…人が心配してたってのに…っ」
青筋を立て、真っ赤な顔をして睨んでいるけれど。
確かに目の前にいるのは一騎だ。
想像(←妄想の間違いです)の中の一騎じゃない。
本物の ―― …
「一騎ーーーーーっ」
…はっ。
あれ?
一騎は?
確かに抱きしめたと思った…の…に……?
…まさか。
また、夢…?
またしても夢オチなのか!?
なんてことだ!!
僕が何をしたって言うんだ!?(←色々してますよ)
おのれフェストゥム!
僕の一騎は渡さない!!
渡さないからな!!!
チッキショーーーーッ…ちっきしょー…ちっきしょー……(エコー)
〔完〕
--- 2005.6.1 / 初出・オフライン発行総一合同誌『妄想図鑑』 ---
僕の名前は皆城総士。
学級委員を務めるぴちぴちの14歳(誕生日目前)だ。
そしてまた、この竜宮島を守るため、ファフナーの指揮系統を司るジークフリードシステムを扱える唯一の存在でもある。(←説明的)
ちょっと今はわけあって、このジークフリードシステム内に閉じ込められている最中だ。
……という前ふりも、もういい加減聞き飽きた、というのは無しだ。
むしろ、僕の方が言い飽きている。
とは言え、暇なものは暇だ。
一騎…
やはりここは、妄想で一騎欠乏症を補うしかない。(きっぱり)
はあ…、しかし一体どうしたものか。
妄想も大概し尽くした感がある。
ふむ、普段とちょっとシチェーションを変えるのもまた手か。
そう、浴衣だ。
浴衣の一騎はたまらなくそそる。
そう言えば、今年の夏祭り、射的を外して一緒に林檎飴を食べたっけ。
可愛かったな、一騎…(萌)
はっ、待てよ。
浴衣&林檎飴プレイは既に妄想済みだった…!(飛月さんの漫画参照)
僕としたことがっっ
…いや、待て。
待つんだ、総士。
林檎飴の屋台に、林檎飴しか売っていないとは限らない。
……ふ、ふふふ。
そうだ、あれがあった。
よし、夏祭りにレッツ・リトライだ!(←日本語は正しく使いましょう)
「すみません、これください」
浴衣姿の一騎が、嬉しそうに林檎飴を買っている。
祭りの空気がそうさせるのか、童心に返ったような一騎に、思わず口元が綻ぶ。
今日くらいは、フェストゥムのこと、戦いのことを忘れても罰は当たるまい。
(ん…?)
一騎が林檎飴を受け取るのを眺めていると、ふとそれが視界に映った。
(そうか、こんなものも売ってるんだな…)
「すみません、こっちの、もらえますか」
僕がそう言うと、一騎がちょっとだけ驚いたように振り返る。
「珍しいな、総士。おまえがそんなの買うとか」
「たまには、ね」
「ふーん?」
「それより一騎。折角だから、どこかで座って食べないか?」
「ああ」
僕の思惑など知る由もなく、一騎はにっこり笑って頷いた。
……可愛すぎる。(メロメロ)
「…って、おい、総士! どこまで行くんだよ」
一騎の腕を掴んで林の奥まで進む僕に、さすがに何かを感じたのか、焦って一騎が声をかけてくる。
祭りの囃子も遠くなったことだし、この辺でいいか。
ちょっと開けたところで立ち止まる。
「この辺で食べようか、一騎」
「あ、ああ」
一騎は訝しげに僕を見るけれど、促すと素直にそこに腰掛ける。
それを見てから、僕も一騎の隣に腰掛けた。
一騎は林檎飴の袋を破り、美味そうに頬張っていた。
「美味いか? 一騎」
「ああ。総士は食べないのか? その苺飴」
一騎が指差した先、僕の手にあるもの、それは。
林檎飴同様、飴でコーティングされた苺である。
「ん? そうだな」
僕が袋を破く様を、一騎はじっと見つめている。
「一騎も食べるか?」
そう振ると、一騎はちょっと顔を赤くして一瞬固まった。
ちょっと食べたそうな感じだったから言ってみたのだが、どうやら図星だったらしい。
まあ、確かに苺飴は珍しいしな…
と、いうか。
一騎がこういう反応を返すのを見越して買ったんだが。
「う、…うん」
まだ顔は赤くしたまま、一騎が上目遣いに頷いた。
……よしっ!
狙い通りだ。(ガッツポーズ)
「まったく…、一騎は欲張りだな」
「へ…? って、おい、総士!?」
そう言うや否や、一騎を押し倒す。
そして浴衣の割れ目に手を差し込んで、その場所を弄った。
「な、何すんだよ、総士!! ん、んぐぅ…っ」
一騎が手にしていた林檎飴を、そのまま一騎の口へと押し込む。
「こっちは林檎飴を食べてるだろう? だから、苺飴は下の口で食べさせてあげるよ、一騎」
「な……っ」
よく知ったその場所にまずは指を潜り込ませ、それから徐に手にした苺飴を埋めていく。
「…ぅ…っ!!」
「ほら、こっちも美味そうに食べてる」
ちょっと力を入れると、ひくついた一騎の秘所は、苺飴をすんなりと呑み込んでいった。
「一騎の内は熱いから、飴もすぐ溶けるだろうな」
「な、なんてことすんだよ、総士!!」
嫌々をするように頭を振っていた一騎だが、その拍子に口に押し込んでいた林檎飴が叢に落ちてしまった。
「駄目だろう? 一騎。食べ物を粗末にしたら」
「そ、それはこっちの台詞だ!!」
真っ赤な顔で睨みつけてくるけれど、僕が押さえつけている所為で、身動きが取れない状態だ。
「口が寂しいなら、これをしゃぶるといい」
「む、ぅ…!?」
苺飴を秘所に押し込んだまま、今度は僕のモノを一騎の口に咥えさせる。
「ふ……、う…ン」
「美味いか? 一騎」
苺飴の棒をぐりぐりと動かしながら、そう一騎に問いかける。
一騎は涙を浮かべたまま、苦しそうに、それでも懸命に僕に奉仕していた。
その表情と、一騎の舌と口腔によって与えられる刺激に、僕は今にも弾けんばかりだった。
(…どうするか…)
このまま一騎の口に出すか、それとも顔にかけるか。
(……いや、待てよ)
普通のやり方じゃいつもと変わらない。
折角の今のこのシチェーションを活かすにはどうするか…
(そうか…!)
一騎は苺に練乳をかけて食べるのが好きだ。(ちなみに僕は、なちゅらるていすと派だ。)
よし、そうと決まれば…
「一騎」
一騎の口から今にも弾けそうな僕自身を引き抜くと、一騎の片足をぐいと持ち上げた。
そして苺飴を挿れたままのそこにあてがう。
「頑張ったご褒美だ。イチゴミルクを食べさせてあげよう」
「い…」
今まさに、一騎の内に入ろうとした瞬間。
「いい加減にしろ、この変態総士!!」
僕の顔面に林檎飴がヒットした。
……はっ。
あ、あれ?
どういうことだ!?
どうして最近の妄想だと、一騎と最後までやれないんだ!?(何をですか)
おかしい…
おかしいぞ、これは!!
まさか、ミョルニアの陰謀なのか!?
く…っ
いや、だが負けないぞ。
誰もこの僕の想いを止めることなどできはしない!!
待っていろ、一騎!
僕は負けない!
一騎ーーーーーーーーーーっっ
〔完〕
--- 2005.9.6 / 初出・オフライン発行『妄想図鑑 おまけ本』 ---
…もしも、この目が見えなければ ――
+
望んだのは自分。
見えなくなれば、とも。
…会いたい、とも。
そう、
共に望んだのは自分。
そして……
震える足。
足元が覚束ないのは、この目の所為?
それとも、この鼓動?
周りの音も、周囲の会話も、すべてを掻き消しそうとするかのような鼓動に、呑まれてしまいそうで。
(しっかりしろ……っ)
拳を握り締めて、自分自身を叱咤する。
ひとつ深呼吸をして、背筋を伸ばす。
すると今度は、周りから音が消えた。
真っ直ぐに、その場所へと向かう。
一歩一歩を、踏みしめるように。
「一騎」
どくん
望んだ声。
待ち続けた、声。
ずっと ―― …
「総士」
真っ直ぐに。
一騎はその姿を捉えた。
見えない、目で。
「…おかえり、総士」
+
「どういうつもりだよ、総士っ!?」
「どういうつもりも何も、見たとおりだ」
”見たとおり”という言葉に込められた意味が心に刺さって、言いかけた言葉を一騎はぐっと飲み込んだ。
同化現象により引き起こされた視力の低下で、今の一騎にはぼんやりとしか物を見ることができなくなていた。
けれど、そのぼやけた視界でも今の状況はわかっている。
総士は確かに帰ってきた。
約束した通り、この場所へ。
自分のいる、この島に。
そして、今。
総士はあの場所へと向かっている。
アルヴィスの制服ではなく。
シナジェティックスーツを、身に纏って。
「なんで…っ」
それでも、どうにか吐き出した言葉。
けれどそれすらも、最後まで続けることができない。
総士の腕を掴んだまま、唇を噛みしめて俯く一騎の姿を総士はじっと見下ろし。
それから静かに口を開いた。
抑揚のない、声で。
「フェストゥムとの戦いがまだ完全に終わったわけではないことは、おまえも知っているだろう?」
「……ああ」
「いつまた、ファフナーの力が必要になるかわからない」
「…………」
「…北極決戦から1年」
突如切り出された言葉に、思わず一騎の肩がびくりと震えた。
「その間の僕の時間は、止まったままだ」
―― あの時。
肉体を失って、フェストゥムの側に総士が行ってしまった1年間。
必ず戻ると約束した総士。
そして。
ずっと待つと、誓った自分。
けれどその時間は。
途方もないほど、長くて。
「だから、僕ならまだノートゥングモデルに乗れる」
「総…」
再び歩き出した総士の後を追いかける。
たとえ視界はぼやけていても、否応なく通い慣れてしまったこの道を迷うはずもない。
ファフナーのコクピットブロックへと続く、この道を。
ヴン…
聞き慣れた音がする。
そして、よく知った、その場の持つ独特の空気。
「……っ」
「一騎…!?」
コクピットが閉まる瞬間。
無理にその中へと体を滑り込ませた。
「…一騎。マークザインは二人乗りじゃないだろう?」
深々と溜息を吐いた後、総士の呆れたような声が頭上から聞こえてくる。
無理に入り込んだ所為もあって、一騎は半ば総士にしがみつくような格好になっていた。
「………」
「それとも」
一騎が何も答えずにいると、少しだけからかうような声音で言葉が返ってくる。
「僕の代わりにジークフリードシステムにでも入るか?」
冗談めかして言ったその言葉に、深い意味などなかったのだろう。
まるで、言う事をきかない駄々っ子を諫めるように、或いは宥めるように発せられたその言葉は、けれど、この胸に小さな痛みを齎して。
「…それができたら、どんなに、よかったかな」
「……一騎?」
怪訝そうな総士の声。
それもそうだろう。
自分ですら驚くほどに、絞り出した声は震えていて。
「それができれば、おまえの抱えた痛みとか、苦しみとか、ちょっとは一緒に背負えたのかな」
脳裏を掠める映像。
それは、隠すように置かれた、薬瓶の山。
不器用な総士。
そして。
不器用な、自分。
「…この目が、見えなくなれば」
「……?」
「少しはおまえの気持ち、わかるかもしれないって、思ってた」
自分が奪った、総士の左目の光。
同じように、自分も失えば。
「…けど……」
「……」
「おまえが、見えない」
「…っ」
爪が食い込むほどに、拳を握り締める。
「ここにいる。触れられるほど、近くにいる」
そう。
微かな息遣いすら、感じられるほどに。
「なのに……っ」
(総士が、見えない)
ずっと会いたかった。
望んでいた声。
温もり。
けれど。
その姿を、この目で捉えることができない。
―― 望んだのは自分だ。
会いたい、と。
そして。
この目が見えなければ、と。
こんな姿を、総士は哀れんでいるのだろうか。
蔑んでいるのだろうか。
その表情を知る術が、自分にはない。
「…前に、僕が言ったことを覚えているか? 一騎」
「……?」
暫くの沈黙の後、ふいに発せられた問いは、とても静かで。
「僕に必要なものは、この左目の代わりになるものだけだ、と」
「……っ」
それは、忘れるはずのない言葉。
…忘れたかった、言葉。
胸を刺す痛みが、増していく。
「それはおまえだ、一騎」
―― けれど。
「え…?」
「僕は光を失ったわけじゃない。寧ろ、手に入れたんだ」
たとえ、どんなカタチであったとしても。
それが歪なものだったとしても。
…互いを縛るだけのものだったとしても。
「おまえという”光”を。この左目と引換におまえを手に入れられるなら…」
「総士…」
握りしめたままの拳が、そっと解かれていく。
絡ませあう指から伝わってくる温もりは、総士のもの。
忘れるはずもない。
間違えるはずもない。
確かに、そこに在るのは総士。
そして、自分。
「……ふ…」
「一騎…」
制服の間から差し入れられた手が、躯中を這い回る。
総士が残していく痕すべてが、灼けるような痛みを伴って。
けれど決して、不快なものではない。
見えなくても、わかる。
齎される熱は、総士が与えてくれるもの。
それは、この躯に刻み込まれているから。
「……っ」
「…もう達ったのか?」
狭いコクピットの中で、総士にしがみついたまま。
まだ挿れられてもいないのに、総士の手の中でびくびくと震えながら熱を吐き出していた。
「一騎」
互いの吐息すら、熱を帯びて。
「総…士…っ」
強請るように名を呼べば、少しだけ躯を持ち上げられて。
「あ…、あ、ぁ……っ」
総士自身を内で感じて、ただ、その熱に溺れていった。
よく知った、その熱を。
とくん
シナジェティックスーツ越しに聞こえてくる、総士の鼓動。
そして。
パキン
どこかで聞こえた、何かが砕けた音。
これは……
「一騎…」
少しだけ驚いたような総士の声に、ふっと顔を上げる。
「総士……」
そこにあったのは。
驚きに見開かれた、総士の瞳。
見ることの叶わなかった、その姿。
「…総士…、俺……」
「一騎」
「見える…、おまえが……っ」
「一騎…っ」
抱きしめた温もりは、確かにそこに在って。
求めた姿も、すべて。
今。
ここに、在る。
--- 2005.6.15 ---
(何を怖がる必要がある?)
ふいに脳裏に浮かんだ疑問に、一騎は一瞬立ち止まった。
(”怖がる”…?)
何故そんな言葉が浮かんだ?
ファフナーに乗ってフェストゥムと戦うことを怖いと思ったことはない。
ただ、自分が変わっていくようで、自分の居場所がなくなってしまうようで。
その意味でなら、怖いと思ったことは確かにあったけれど。
(…なんだ…?)
どうしてそんな言葉が浮かんだのか、一向にわからない。
思い当たる節はないのに。
……ただ、ひとつだけ。
今がコクピットの中じゃないことに、少しだけ安堵している自分がいた。
●
「一騎」
ロッカールームから出るのと、向こうからやって来た総士が名を呼ぶのは同時だった。
「戦闘が終わったばかりで済まないが、ミーティングをする」
「ああ」
そう言いながらも既に自分の前を歩いていく総士の背中を、一騎はぼんやりと見つめていた。
(そう言えば、最近ちゃんと話をした記憶がないな)
フェストゥムとの戦いも佳境に入った今、気がつけば交わす会話は必要限度のみで。
それでもちょっと前までは、弓子先生あたりが気を利かせてくれて、みんなでゆっくり過ごせる時間を作ってくれたものだったけれど。
(何を怖がる必要が…)
また、だ。
何故だろう。
最近、総士とまともに会話をしていないから?
でもそれが、なぜ、”怖い”という発想になる?
それとも…
ふいに浮かんだ想像に、一騎は顔を赤らめた。
けれどすぐに、それは自嘲の笑みへと変わる。
会話もしていない。
…寝ても、ない。
それこそ一時期は、毎日のようにしていたというのに。
ふと、右目に手をやる。
フェストゥムと戦うことは怖くない。
同化現象が進んで、死期がすぐそこまで近づこうが、怖くはない。
たとえ自分が消えたとしても、総士はいるから。
だから、怖くなどない。
―― そう、怖くないのに、何も。
「総士」
もう飽きたのだろうか?
それとも、こんなぼろぼろの躯は要らない?
例え、必要とされなくなったとしても。
それでも、守る。
俺は、総士を守るから。
腕を掴んで振り向かせざまに、総士の唇を塞ぐ。
―― 最後にキスしたのはいつだった?
「どうしたんだ、急に」
冷静さを装う声。
でも、それは動揺を誤魔化す為のものだって、もう知ってる。
「抱けよ、総士」
「一騎?」
―― 最後に触れたのは…
「いいから抱けよ」
知ってる。
この唇が、この躯が。
総士の、全部を。
「…ぅ、あ……っ」
いつも以上に激しい攻めに、一騎は気を失いそうになるのを必死に堪えていた。
それでもこの躯は、最大限の快楽を貪ろうとその動きについていく。
いつからこんな躯になってしまったのか。
その問いに答えを出す前に、繋がった場所から這い登ってくる電流のような痺れに一気に高みまで上り詰めて。
「あ、あああぁ…っ」
「くっ…」
総士の熱と自分の熱を、内と外で感じて。
思考同様、ぼんやりとした視界に、総士が口元で笑うのが映った。
「自分から仕掛けてきたんだ。これで終わりじゃないだろう?」
そう言うと、内に埋めていた自身をずるりと引き抜いて、口元に押し付ける。
「さあ、一騎」
言われるがまま、口を開ける。
よく知った味を喉元に感じながら、一騎はその行為に没頭していった。
いつの間にか眠っていたらしい。
散々奥を掻き回されたというのに、不快感はない。
どうやら気を失っている間に、総士が後始末をしてくれていたようだ。
「総士…?」
隣に総士の姿はない。
それどころか、部屋のどこにもいる気配がなかった。
ぞくり
唐突に這い登ってきた震えは、抱かれている間に感じるものとはまた別のもので。
(何、だ……?)
思わずぎゅっと、一騎は自分の体をかき抱いた。
(何を怖がる必要が…)
そうしてまた、唐突に浮かんだ言葉。
(なんなんだよ、一体…)
知らなくていいと、頭のどこかで警鐘が鳴っている。
けれど、同時に。
知らなくてはならないと、頭のどこかで声がしている。
(いや…)
きっと、知らなきゃいけない。
知る必要が、ある。
すべてが、手遅れになる前に。
●
―― 衛が死んだ。
蔵前も死んだ。
翔子も死んだ。
甲洋はフェストゥムになった。
咲良も結晶化が進んでいる。
そして自分も、確実に死期が迫ってきている。
けれど、大丈夫。
総士は、大丈夫。
ジークフリードシステム内ならば。
あの、堅固なアルヴィスの中であれば。
たとえ、この自分が敵にやられることがあったとしても。
その痛みを共有はしても、それでも総士自身は安全な場所にいられるから。
だから、大丈夫。
何も、怖がる必要など…
ないはずだったのに。
「総士を返せっ」
こんなことあるはずがない。
あるはずなかったのに。
「総士、総士、総士…、総士ーーーーーっっ」
……怖かったのは。
失うこと。
--- 2005.9.1 / 初出・オフライン発行『DEAD SET』 ---
その日、皆城総士は悩んでいた。
(どうすればいいんだ、僕は…っ)
「あんまり悩むとはげちゃうよ、総士」
「………兄に何てことを言うんだ、乙姫」
通りすがりの乙姫の容赦ない突っ込みに返答をしながらも、総士はやっぱり悩んでいた。
(僕は、どうすれば…っ)
…と。
悶々と総士が悩んでいようが、フェストゥムの襲来は遠慮なくやってくる、のである。
「アンビバレント! コアギュラ型です!」
アルヴィス内に弓子先生の声が響き渡り、一気に戦闘体勢へと移行する。
「一騎、左だ!」
「ああ、わかってる!」
……で。
今日も無事にフェストゥムを撃退した竜宮島に、今日も平和な夜がやって来る。
…ただ一人、(心中)平和でない者もいたりするのだが。
(よ、夜になってしまった…っ)
時間というものは無常に過ぎていくものである。
どんよりと暗い空気をまとって、ふらふらとアルヴィスの廊下を進む総士の背中に声をかける者がひとり。
「総士」
「一騎…」
いつもならその顔を見ただけで、それこそ抱きしめたくなる衝動に駆られるのではあるが。
今日に限っては勝手が違う。
(よ、よりにもよって…)
四六時中、一緒にいられるものなら一緒にいたいのはやまやまなのだ。
駄菓子菓子…っ(古)
「どうした? 総士」
「か、一騎。あ、あのな…」
珍しく口ごもる自分に、一騎はきょとんとした目を向けて。
…仕方あるまい。
これは僕のミスだ。
「一騎」
「うん?」
「誕生日おめでとう」
意を決してそう告げると、一騎は一瞬固まって。
それから。
「ありがとう」
嬉しそうに、微笑んだ。
「覚えててくれたのか。って、俺、すっかり忘れてたよ」
「いや、僕は覚えていたんだ。覚えていたんだが…」
「?」
「すまない、一騎。おまえに何をやっていいのか迷っていたら、あっという間に今日という日が終わろうとしている」
「…は?」
「すまない。誕生日プレゼントが何もない…っ」
がっくりと肩を落とすと、何故か一騎はぷっと吹き出した。
「…なんだ?」
「いや」
むっとして聞き返すと、それでも一騎はくすくすと笑いながら、目にはうっすら涙まで浮かべる始末。
「…おまえらしいな、って」
「なんだ、それは」
益々むっとすると、それに比例して一騎の笑いは益々ひどくなっていく。
けれどふいに、再度与えられた謝辞と微笑み。
「ありがとう」
「……っ」
(フェイントだ…っ)
そんな嬉しそうに言われたら、どうしていいかわからなくなるじゃないか!(←やっぱり不器用)
…でも。
こうして、笑いあえたこと。
小さくて些細な、けれどとても大切な。
そんな日、だった。
「おめでとう」
--- 2005.9.20 ---
「総士の欲しいものって何だ?」
物凄く真剣な面持ちで、そんなことを訊いてくるから。
「……何だ、突然」
思わず一瞬口ごもり、とりあえず聞き返してみる。
「だから! おまえが欲しいもの」
鬼気迫る勢いで訊かれても、本当に欲しいものなんて言えるはずもない。
―― どんなに望んでも、手に入らないと知っているから。
だから。
「…平和」
とりあえずそう言ってみる。
嘘ではないから。
「………」
すると一騎は一瞬考え込んだかと思うと、徐に背を向けて走り去ってしまった。
「…何だったんだ? 一体」
―― 翌日。
「総士!!」
そう叫ばれるなり、一騎がむんずと腕を掴んでなぜかそのまま真壁家に連行されてしまった。
「ちょっとそこで座ってろ」
勝手知ったる真壁家の居間に正座して待つこと5分。
目の前に広がっていく食卓は、いつもの真壁家の夕餉より、少しだけ豪勢で。
そして。
「……豆…腐……?」
そこにはケーキのようにあしらわれた冷奴があった。
目に鮮やかな赤はプチトマト。
(もしかしなくても、苺の代わり、…とか?)
すると、目の前に腰を下ろした一騎は、心なしか赤い顔をして。
「その…、おまえ、甘いもの得意じゃないだろ?」
―― 確かにその通りだ。
「俺…、ファフナーに乗ることと、飯作ることくらいしか、できないから…」
ぼそぼそと続ける一騎に、ようやくあることに気がついた。
(そうだ、今日は…)
それに思い当たった時、思わず一騎の身体を引き寄せていた。
「そ、総士!?」
(手に入らないなんてこと、ないじゃないか)
―― そうだ、本当は。
あったじゃないか、ここに。
「誕生日おめでとう。総士」
--- 2005.12.27 ---
いなくなりたいわけじゃなくて。
ただ、
いなくなることが、怖くなどない。
……それだけ。
そこは、絶望にも似た闇。
光も届かない深海の底で。
(ああ、そうか…)
輝くそれは。
命の、光。
(命になったんだろ、おまえたちも…)
だからこそ、そんなにも。
美しくて。
零れ落ちた雫の理由(わけ)は、きっと悲しみなんかじゃなくて。
憎しみとか、悔しさとか、そんな感情の先にあるもの。
それを何と呼ぶのかなど、知らない。
けれど、いつか。
知る日が来るのかもしれない。
残されし者たちに、受け継がれた想いと共に。
―― いなくなることは怖くない。
またいつか、そうして。
命として、生まれるから。
--- 2006.9.17 ---
「Shit!」
「殿!?」
馬の嘶きと共に、砂煙が舞い上がる。
それが収まり視界が開けると、足元に蹲る小さな影がひとつ。
「ったく、怪我はないか?」
「うぇ…」
ひょいと抱え上げて顔を覗き込んだ途端、政宗は心底驚いた。
驚きのあまり、言葉が出ない。
「殿…その子は…」
そろそろと近づいてきた小十郎も、政宗が抱える子供を覗き込む。
そして同じように驚いた顔をして。
「真田…殿…?」
ようやくその一言だけ、口にした。
「しっかしそっくりだな…」
兄がいるとは聞いていたけれど、弟がいたとは聞いていない。
というよりも、そもそも奥州と越後の国境などにいるわけもない。
「ここまで似てると…やっぱ甘いもんとかも好きなのか…」
幸村にそっくりなその子供はまだ泣きやまず、政宗にしがみついていた。
「殿、先ほどの角に茶屋がありましたが…」
「んじゃそこまで戻るか」
とりあえず馬はその辺りの木に繋がせて、泣きじゃくる子供を抱きかかえたまま茶屋へと向かった。
「ほら、泣いてばっかないで食えよ」
とりあえず腰掛けて、頼んだ団子をひとつ皿から取り、子供の前に差し出した。
するとその子供はおずおずと手を伸ばし、まじまじと団子を見つめると、ぱくりと口に入れた。
すると、それまで泣いていたのが、途端にふにゃっと笑顔になる。
(そんなとこまでそっくりかよ…)
苦笑しながら茶を一口飲む。
向かいに腰掛けた小十郎も、同じく苦笑しながら茶を飲んでいた。
子供はといえば、政宗の膝の上に座ったまま、2本目の団子に手を伸ばしていた。
「ほら、ついてるぜ」
「うにゅ?」
口の周りにいっぱいあんこをつけて、子供が見上げてくる。
「………」
何から何までそっくりだ。
眩暈がしそうになりながらも、政宗は口を開いた。
「おまえ、名前は?」
「ゆき」
途端に、向かいの小十郎が飲んでいた茶を吹き出した。
(あぶねぇ…)
きっと自分も、茶を飲んでいたなら同じ羽目になっていただろう。
(名前まで一緒かよ…)
ここまで来ると、赤の他人とは思えない。
嬉しそうに団子を頬張るゆきの髪を、くしゃくしゃっと撫でる。
「ったく、もう二度と急に道に飛び出してなんかくんなよ?」
「う…」
そう言うと、怒られたと思ったのか、途端にゆきの顔がしゅんとなった。
そんな姿に、思わず苦笑いが洩れる。
「怒ってねーよ。危ねーから、気をつけろよ? ゆき」
「うん…」
しおらしく頷いたかと思うと、次の瞬間にはへにゃっと笑った。
ころころ変わる表情に、やはり幸村と重ね合わせてしまう。
「殿、そろそろ参りませんと…」
「ああ、そうだな」
予想外の出来事に、思ったよりも時間を食ってしまった。
これでも忙しい身なのだ、本当は。
「ちゃんと自分で家に帰れるか?」
「うん、かえれるよ」
舌足らずにそう答えるゆきに、もう一度くしゃくしゃと頭を撫でてやる。
「じゃあな、気をつけて帰れよ」
「うんっ」
名残惜しい気はするが、手を振るゆきを見送ってから、馬を繋いでいる街道へと戻っていった。
「しかし…本当にそっくりでしたね」
「ああ」
心なしか声まで似ていたような気がする。
きっと幸村の小さい頃は、ゆきのようだったに違いない。
「いいもん見たぜ」
「では、早々に城に戻りましょう」
「…甲斐に寄っていくかな」
「殿!!!」
背後から小十郎の雷が聞こえてきたけれど、そんなものを意に介する政宗ではない。
胃をキリキリさせる小十郎をその場に残して、馬を走らせる。
方角は勿論、―― 甲斐。
「待ってろよ、幸村」
「今行ってきたばかりではありませぬか、殿ーーーっ!!」
--- 2006.9.17 ---
その感情が何なのか、知らない。
いや、そもそもそれが感情なのかどうかすら ―― …
ふと、読んでいた本から目を上げる。
気づくと胸の奥深くに蟠る、感情。
それはまるで、黒い靄のように、澱んでそして、沈んでいく。
”己”というものを侵食するかの如く、じわりと染み込んで。
今ここに存在する己というものは、何なのだろう。
然したる努力もすることなく、何でもなんなくこなしてきた。
勉強にしろ運動にしろ、そう。
何不自由なく、この18年を生きてきた。
けれど、何であろうか。
何かが、足りない。
この魂(こころ)に、何かが足りなくて。
―― もどかしい。
それは、憤りにも似た焦り。
それが何かがわからない。
それでもとても、…きっと、とても大切なことで。
それがなければ、きっとこの渇きは癒せない。
(渇いて…いたのか……)
ふと浮かんだ言葉に、すんなりと納得する自分がいた。
けれど、そうであるならば。
その、何かは……
ざあっ
風が何かを運んでくる。
(花びら…?)
満開の桜の梢を、風が揺らして。
世界を、揺らして。
「あ、あの…」
花弁と共に、運んできたのは ―― …
……ああ、そうだ。
見つけた。
やっと、この魂(こころ)が…
充たされる。
--- 2006.10.24 ---
「ふぅ…」
ひとつ息をつく。
夕食も終え、ゆっくりと湯に浸かった後、ようやく人心地がついた気がした。
剣道部の合宿で今朝からこの地に赴いてからというもの、食事の時間以外はすべて練習に充てられていた。
初日からかなりハードだとは思う。
けれど、体に感じる疲労は、決して不快なものではなかった。
友達の輪から離れ、幸村はひとり、宛がわれた部屋を抜け出した。
夏の夜風は肌寒くもなく、風呂上りに涼むのに丁度よい。
少し風に当たろうと、合宿所の廊下を進む。
そして、ちょうど庭の縁側に差し掛かった時、ふと足を止めた。
(あれ?)
どうやら先客がいたらしい。
向こうもこちらに気づいたらしく、ゆっくりと振り返る。
「なんだ、幸村か」
「伊達先輩」
呼ばれた名前と共にふわりと微笑まれて、思わずどきりとする。
男が男にどぎまぎしてしまうのもどうかと思いつつも、
(やっぱり…キレイなんだよな…)
月に照らされたその顔は、綺麗で。
(あれ…?)
なんだろう。
なんだか妙に、懐かしい感じがする。
「どうした? ぼーっとして」
「あ、いや…」
まさか、『先輩に見惚れてました』…などと、言えるはずもない。
とりあえず、ちょこんと政宗の隣に腰掛けて、幸村は場を取り繕うように口を開いた。
「先輩こそどうしたんですか?」
「ん? 俺は夕涼み」
「あ、俺と同じ」
その答えがなんだかちょっと嬉しくて、思わず笑みが零れる。
ふと視線を感じて、その先を辿ると。
「先輩…?」
政宗が、じっとこちらを見つめていた。
真っ直ぐな、視線。
どきん
心臓がひとつ鳴る。
目を、逸らせない。
それは、時間にすればほんの数秒だったのだろうけれど。
永遠のように、感じられるほどに。
―― この瞬間が、永遠に……
「幸村」
その唇が名を紡ぐ様を、ただじっと見つめることしかできない。
瞬きするのを忘れるほどに、ただ、じっと。
動けずに。
伸ばされたそのしなやかな指先が、そっと髪に触れて。
「濡れてる」
「あ…、えと…、風呂、入ってたから…」
言葉を忘れてしまったかのように、たどたどしく説明をする間も、その視線から逃れられずに。
そんな心を知ってか知らずか、目の前の政宗がまた柔らかく笑んだ。
「……っ」
心臓が破れそうなくらいに、鼓動は激しくなる一方で。
「ちゃんと乾かさないと、風邪ひくぜ?」
「わっ」
肩にかけていたタオルをむんずと掴まれて、そのままわしゃわしゃと乱暴に髪を拭かれた。
「ちょ…っ、せ、先輩…っ」
「ほら、これくらいでいいだろ?」
焦って手を伸ばすと、政宗はにっと笑ってから、ぐしゃぐしゃになった髪を今度は指で梳き始めた。
それはなんだか懐かしいような、安心するような、不思議な心地で。
されるがまま、幸村はぼんやりと目の前の政宗を見つめていた。
「幸村?」
「あ、…ありがとう…ございます……」
ぼうっとする頭を揺り起こして、どうにか礼の言葉を述べる。
きっと今、自分はとても赤い顔をしているのだろうけれど。
「お安い御用、ってね」
そう言いながら、政宗が幸村の頭から手を離す。
それが何故か、名残惜しいような、寂しいような気がして。
―― もっと、触れてほしい。
心のどこかで、そんな声がした気がした。
「んじゃま、とりあえず」
「え…、って、先輩!?」
政宗がごろりと横になったかと思うと、何故か膝の上に重みを感じて。
「ちょっと寝かせろ」
「え、え、……先輩…?」
言うが早いか、静かな寝息が聞こえてくる。
幸村の膝枕で、政宗はすっかり眠り込んでいた。
「………」
疲れては、いるのだろう。
主将という立場上、幸村達後輩の前では余計に気も張っていることだろう。
自分達には窺い知れない苦労だって、多いに違いない。
(そういえば…)
そこで改めて気がつく。
政宗は、この自分のことを「真田」とは呼ばずに「幸村」と呼ぶ。
けれど、他の後輩達を名前で呼ぶことはしない。
「……っ」
そう思い至って、何故かまた心拍数が上がった気がした。
心なしか、頬も熱い気がする。
(湯あたり…した、かな)
そう、これはきっと風呂上りでのぼせた所為だ。
理由をつけて、自分を納得させる。
けれど。
(嬉しい…かな)
自然と口元が綻ぶ。
なんだかくすぐったいような、不思議な気分。
静かに眠る政宗に視線を落としてから、虚空に浮かぶ月を見上げた。
そっと頬を撫でていく夜風も、どこか懐かしく感じながら。
--- 2006.10.24 ---
| 05 | 2026/06 | 07 |
| S | M | T | W | T | F | S |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | |
| 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 |
| 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
| 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 |
| 28 | 29 | 30 |
真性アスキラー。
思いもよらずダブルOが歴代G
の中で一番好きな状況に。
成層圏の向こう側まで狙い
撃つ兄貴を愛してやまず。
BAS●RAの影響で戦国史に
どっぷり。VIVA眼帯。
えろすきーだけどホモスキー
に非ず。
オフラインでは【絶対零度】
というサークル名で活動中。