忍者ブログ
神崎廉が今まで書いてきたSS保管庫。
3  4  5  6  7  8  9  10  11  12  13 
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

こちらのシリーズは戦国BASARAの現代版パラレルなダテサナ、となっております。

【伊達政宗】
19歳。大学1年生。幸村の所属する剣道部の前主将。
容姿端麗・頭脳明晰・スポーツ万能と三拍子揃っている。
幼い頃患った病気の為に、右目の視力は殆どない。
現在は一人暮らし中。

【真田幸村】
17歳。高校2年生。政宗の高校の後輩。
高校の入学式で政宗と運命的な出会い(再会?)を果たす。
成績は中の上。運動神経は抜群。その明るい人柄から友達も多い。
実家は槍術を教える道場。超ブラコンな兄(信之)がいる。

【猿飛佐助】
代々真田家に仕えている。
幸村の教育係という名の世話係。
真田家の離れにて起居中。

今後は他のキャラも参戦予定…?

PR

………どこまで行けば終わりが見える?

 


ダンッ
華奢な体を、乱暴に押さえつけて。

「もう一度訊く」

無機質な声で、問いかける。
一番、大切な。
一番会いたかった、相手に。

「ザフトに来る気は?」

その問いに、一瞬瞳が揺れて。
それでも、真っ直ぐに。
視線を逸らさぬままで。

「…僕は」

ゆっくりと。
言葉を噛みしめるように。

「僕は…友達を置いていけない」

その言葉に、カッと頭に血が昇るのがわかる。

”友達” ―― ?
ずっと一緒だった、この自分よりも。
たった3年、側にいた友達の方が大事だと?
しかもその相手は、コーディネイターではなく…

「ナチュラルは…」

襟元を掴む拳が震えて。

「母だけでなく、おまえまで俺から奪うのか!?」
「アスラン……」

激昂して思わず叫んだその言葉に、キラが痛ましげに瞳を伏せた。


……たった3年。
言葉にするのは容易いけれど。
とても長かった、日々。
すぐにまた会えるのだと信じていた。
けれど、約束は果たされることはなく。
その存在を、いつまでも待ち望んでいた日々。
そして、やがて訪れた悲劇。
その悲劇を引き起こしたものは。


「……許さない…」
「え…」

掴んだ襟元をそのまま引き寄せて、噛み付くようにキスをした。
固く閉じられた歯列に強引に割り入って。
キラが苦しげな表情をするのも構わずに、舌を絡め取る。
ようやく唇を離すと、キラの体からは力が抜けていて。
壁についた手で、どうにか支えているといった様子だった。
そんなキラを冷たく見下ろして、ベルトに手をかける。
「アスラン!?」
そのままキラ自身を取り出して、嬲るように追い詰めた。
「や…っ、ア、アスラン……っ」
慣れない刺激に、あっさり果てたキラが肩で息をしながら名前を呼ぶ。
「アスラン…、な、んで……っ」
指に絡まる残滓を舐めとりながら、その問いをどこか空々しく聞いていた。
「忘れるなんて、許さない」
冷たく、言い放って。
まだ何をも受け容れたことのないそこに、自身を突き立てた。
「……っ、さすがにきつい、か…」
「……ぁ………っ」
痛みのためか、キラの口からは悲鳴にならない空気のような声だけが上がって。
それでも構わずに、無理矢理キラの中を掻き回す。
「ぅ……っ、……ぁ ―― 」
…優しくなんかしない。
ずっと一緒だった時間を忘れて、この自分よりもナチュラルを選んだキラに。
痛みだけ、刻みつけて。
忘れさせない。
忘れるなんて許さない。
「そんなこと…許さない……!!」

 

「…俺は一体何をしている……」

力なく投げ出された体。
白濁したものの中に混じる、真っ赤な鮮血。
頬に残る、涙の跡。
すべて。
自分のしたこと……

こんなことをして、何になる。
一番大切な存在を、自らの手で汚して。
一番大切な、光を。
自分から、手放した……

「キラ…」


どこか遠くで、声がする。
名前を呼ぶ、声が……

(アスラン…?)

「キラ……っ」

とても、悲痛な声で。

(どうして……?)
どうして、そんな悲しい声で名前を呼ぶの?

『キラ』

アスランはいつも、優しく名前を呼んでくれたのに。
たまに呆れたり、怒ったり。
時には厳しく呼ばれたりも、したけれど。
それでも、最後はいつも。
優しく、名前を呼んでくれた。

それなのに。

『ナチュラルは、おまえまで俺から奪うのか!?』

悲痛な叫び。

(違うよ、そうじゃない…)

そうじゃ、なくて。

『忘れるなんて許さない』

……忘れないよ。
躯の痛みは、いつか忘れても。
一緒にいた日々を。
共に過ごした時間を。
……一番、幸せだった時を。
忘れたりなんか、しないから。
だから、もう ―― …


そんな風に、泣かないで。

 

 

…無限に続いていく、
この、想いは。

どこまでいけば、終わりが見えるのだろう ――

 

--- 2003.9.23 ---

「おーい、どこ行ってたんだよ、キラ」
覚束ない足取りで艦に戻ったキラに、トールが駆け寄ってくる。
「あ、うん…」

言葉を濁して、ちょっとだけ笑ってみせる。
そうすると、この友人はいつも、ちょっと不思議そうな顔をして、でもそれ以上詮索しようとはしない。
無意識のうちにひいた線を、気付いているのか、いないのか。
それでもそんな所は、正直ありがたい時もあった。
気付いてはいたのだ。
どんなに仲良くなっても、心のどこかで一線を引いている自分がいる。
わかっていた。
誰も、彼の代わりになんて、なれない。

「って、どうしたんだよ、おまえ」
顔色悪いじゃんか、と言いながらトールが手を伸ばした。
「…っ」
その手が体に触れそうになる瞬間、キラは反射的にその手を払いのけていた。
「キラ…?」
「あ…」
無意識だった。
「ご、ごめん…!」
トールは呆気に取られたまま、謝るキラを見つめていた。
「何でも…ないから」
まともに顔をあわせられず、キラは逃げるようにその場を立ち去った。

 

ザーッ…
「痛…っ」
熱いシャワーが体を濡らす。
もう出血はしていないようだが、無理矢理アスランを迎え入れたそこが痛い。
躯には、いくつもの痕が残されて。

(アスラン…)

目が覚めたとき、そこにはもうアスランの姿はなく。
まるで、夢の中の出来事のように。
ただ、躯に残る痛みだけが。
それが現実だったのだと、悟らせた。

『忘れるなんて許さない』
悲痛な叫び。

(忘れるわけ、ないじゃないか……)

『おまえまで俺から奪うのか!?』

―― 痛い。
体中、引き裂かれるように。
アスランの叫びが、頭から離れない。
この躯に残された、痛みよりも。
アスランの、哀しみが。
何よりも、痛くて…

「…スラ……ン」

躯の痛みは、いつかは消えるけれど。
この、痛みは……

「アスラン…っ」


あの日、君と別れてから。
君を想って、何度泣いただろう。

でもきっと、どれだけ涙を流しても。
この痛みを、流し去ることはできない。
僕からも、……君からも。
それでも。
シャワーの音が、消してくれるから。
だから、いいよね。
…せめて、今だけは。

君を想って、泣いていいよね ―― ?


--- 2003.9.24 ---

『忘れるなんて許さない』

―― まるで、うわ言のように繰り返した言葉。

そうだよ、キラ。
忘れるなんて許さない。
そして、俺も。
赦されはしない。

 

     ●

 

「くそっ……」
ダンッ
思わず拳で自室の壁を殴りつける。

―― 痛い。
叩きつけた拳よりも。
心のどこかが、ずっと軋むように痛んでいた。

 

「な、んで……」
その内を蹂躙されながら、それでも縋るように此方を見つめた紫の瞳。
その瞳に、透明な涙を溢れさせて。
いつでも、その瞳は。
ずっと、綺麗なままで。
「こんな細腕で…あんな機体(もの) ―― っ」
組み敷いた体も、昔と変わらず華奢なままなのに。
「や…っ、アスラン……、…痛……っ」
何も、変わっていないのに。

…どうして……?

「忘れさせてなんてやらない」
傷つけるように。
「ぁ…や……っ…」
その躯も。その、心も。
「忘れるなんて許さない ―― !!」
キラも、……自分自身さえも。

気を失ったキラは、力なく四肢を横たえて。
痛々しすぎるその姿に、先程までの激情が一気に醒めていった。
頬に残る涙の跡に、そっと手を触れようとしたとき。
「…アス…ラン……」
微かに、呟かれた名前。
その声に、心臓が瞬時に凍えた。
自分が、してしまったこと。
大切な光を。
自らの手で、封じてしまったこと。


「俺は…何を……」
自嘲的に、呟いてみても。
それは現実。

どうして。

ただ、守りたかっただけなのに。
一番大切な光。
一番大切な…キラを。


どんな顔をして会えばいい?
あんなことをしておいて。
どんな…顔で……

(何を…)

また会えるとは限らない。
今、キラは敵なのだ。
もう二度と、会えないかもしれない。

ギリ…
爪が喰い込むほど、拳を握り締めて。
再び壁を殴りつけようとして思いなおす。
そのまま壁に凭れて、ぼんやりと天井を見上げた。

あの日、桜の下で、涙を堪えて自分を見つめたキラ。
そして、泣きながら、縋るように見つめたあの時のキラが。
重なり合う…

『アスラン…』

「キラ……っ」

 

…ただ。
守りたかっただけなのに。

 

--- 2003.9.25 ---

”偶然”も”必然”も関係ない。
出会いも、何もかも。

―― 君、だから。
理由は、ただそれだけ。

 

     ●

 

「アスラン…」

躊躇いがちに呼ばれた名前。
まさか、また会えるとは思わなかった。
まさか、また。
名前を呼んでもらえるとは、思わずに。

どんな顔をしていいのか、わからなくて。
思わず逃げるように踵を返そうとして。

「…待って」

背中に感じた、僅かな温もり。
振り向くと、キラが軍服を握り締めていた。
…あの日の瞳と、同じ。
今にも泣きそうな、瞳で。
じっと、上目遣いで見つめていた。

そんな、キラに。
……恐らくは、自分に。
抑えがたい、怒りと。
愛しさが。

「俺がおまえに何をしたか、わかってるのか…?」
「!」
その言葉に、一瞬キラの体がびくんと震える。
顔も、瞬時に蒼ざめて。
そんな変化に、体中の血が凍えたような、そんな感覚に陥って。
それでもまだ言葉を続けた。
すべてを、傷つけてしまうように。
すべて、壊してしまうように。
「親友だと思ってた相手に犯されて、それでもおまえはまだ俺の名前を呼べるのか!?」
「…けどっ ――」
軍服を握るキラの手に、力がこもる。

「君の手、震えてた」

この躯を、乱暴に暴かれながら。
それでも気付いていた。
その手も。
その、声も。
震えていたことを。

「…恐くなかったわけじゃない」
あの後、艦に戻ってから。
トール達にすら、ちょっとでも触れられるのを拒んだ。
……触れられるのが、恐かったから。

「でも…、なんでかな」
哀しそうに、笑いながら。
キラがそっと、アスランの手を取って自分の頬にあてた。
「アスランに触れられるのは…恐くないんだ」
「………っ」
その言葉に、アスランの顔が奇妙に歪む。
笑いたいのか。
泣き出したいのか。
そんなアスランに、キラがそっと顔を寄せて。
そのまま唇に触れる。
まるで、羽のように。
軽く。
「…嫌じゃ、ないんだ……」
「そんな、嘘なんか聞きたくない…っ」
「嘘じゃないよ…」
真っ直ぐに。
視線を絡ませあって。
そうして暫く無言で見つめあってから。
キラが口を開いた。
掠れた、声で。

「……試してみる…?」

その言葉に、弾かれたようにキラを見つめ返す。
けれど、その紫の瞳は真剣で。
真っ直ぐ、逸らさずに此方を見つめていた。

「…どうなるか、知らないぞ」
「うん」
「手加減なんて…できないからな」
「……うん」

 

……熱い。
触れられる場所、すべてが灼けるように熱い。
その熱と、痛みが。
体中を駆け抜けて。
どうにかなってしまいそうに。
壊れて、しまいそうに。

けれど、きっと。
哀しみの痛みの方が、強くて。
体に感じる痛みよりも。
その哀しみに、心が壊れてしまいそうで。

……どうすれば。
この痛みは癒えるのだろう。
その哀しみは、和らぐのだろう。

傍にいたい。
でも、できない。

一番大切なのに。
それでも最後に選べない。

きっと、アスランを苦しめているのは自分自身。
勝手だってわかってる。
わかってるけど、それでも。

「アスラン…」

それでも、求めるのは。
たったひとり、君だから。

 

こんな哀しい日々は。
どこまで、続いていくんだろう……

 

--- 2003.9.26 ---

無印でのエターナル合流後、空白の2ヶ月間にアスランとキラ、ふたりの間に起こった葛藤と擦れ違い。

アスキラというよりもザラキラ。(アスランが黒め…)
かなり大人向けな表現がありますのでご注意を。

……知らなかったよ。
穢すことが、
こんなに簡単だったなんて。

 

     ●

 

虚ろな瞳。
その瞳には、無機質な天井と、自分に覆い被さる影が映っているけれど。
その映像が、形を成しているかは定かではない。
それでもその瞳の色は、綺麗なままで。
アメジストのようなその瞳をじっと覗き込みながら、乱暴に暴いた躯とは対照的に、そっと、優しく唇を塞ぐ。
すでに蹂躪しつくされた口内は、熱く。
されるがまま、湿った音を立てて貪られていく。
その間も、内に埋められた熱は休むことを知らずに。
「何? 大人しくしてればさっさと終わると思ってる?」
耳元で囁かれて、キラの肩がびくんと震えた。
あまりの激しさに、気を失うことも許されず。
彼を受け容れたままの躯は、まるで自分の躯ではないかのように。
甘く痺れたまま、それ以外の感覚を忘れてしまったかのような、そんな錯覚にさえ陥る。
「ア…スラン……」
声を出すのも億劫なほどだったけれど、それでも絞り出すように、名前を呼んだ。
けれどその翡翠の瞳は、白濁にまみれた躯をじっと見下ろしたまま。
「早く終わればいいと思ってる?」
感情を無くしたかのような声で、そう繰り返した。
そんな様子に、否定しようとしても、言葉にならない。
何かを言いかけようとするキラに、ふっと意地悪く微笑んで。
「まだだよ、キラ。まだ…眠らせてなんかあげない」

 

狂宴は毎夜続く。
明け方近くまで交わり続け、互いの吐き出した熱に汚れたまま、泥のように短い時間を眠る。
その間も、アスランはキラの躯を離そうとしなかった。
そしてキラもまた、その腕にいる間だけは、安心することができた。
”抱かれる”というよりも、”犯される”という方が適切な行為でも。
それでも安堵していた。
その相手が他の誰でもない、アスランだったから。
身じろぎすらできぬほど、すべてを奪いつくされても。
掻き抱かれている腕の温もりは、ずっと欲していたもので。
たとえ、アスランの心が今はわからなくとも。
それでも、尚。
束の間の安らぎを覚えていた。


そして、今夜もまた。

宴は続く。


--- 2004.2.6 ---

ただ、嬉しかった。
一緒にいられることが、何よりも嬉しくて。
罪の意識さえ、凌駕してしまうほどに。
隣に、在るべき場所に、互いがいて。
誰に憚ることなく、名前を呼んで。
その声で、その瞳で。
呼び合える。
ただ、それだけのことが。

嬉しかった。

 

『仲がよすぎる』、なんて。
昔から聞き飽きた言葉だった。
それは、一緒に戦うようになって、一緒の艦にいられるようになってからも同じ。
半ば呆れた目で、揶揄うように言われても。
自分たちには、当たり前のことだったから。
これが、自分たちの本来の姿だったから。

 

キスは昔から挨拶代わりで。
オーブで2度目に再会したときも。
機体をモルゲンレーテの工場に隠す前に、皆の目を盗んで、機体の陰に隠れてそっと、キスしてた。

戦闘に出る前も、そう。
互いの機体に乗り込む前に、まるで神聖な儀式のように。
必ず互いの許へ帰るという誓いと、そして。
強くなれる、魔法。
戦場にいても、怖くなどなかった。
すぐ傍に、互いを感じられるから。
だから、安心して背中を預けた。
考えずとも、互いの行動パターンはわかっていて。
強くなれた。
一緒に、いるから。

 

わかりあえていた。
昔の、ように。
…わかりあっていた、はずだった。

 

     ●

 

「キラ、そっちの調整は?」
「もうちょっと」
「じゃあ、終わったら食事にしようか」
「うん」

昼間の僕たちは、いつもと変わらない。
有事には先陣をきって出撃して、戦闘のない時は、機体を整備して。
その合間に交える会話も、いつもと変わらない。
戦況や機体のこと、あとは何気ない他愛無い会話。
連合軍との緊張状態はいまだ続いていたけれど、それでも時には笑みさえ漏らすような。
昼間の僕たちは、いつもの僕たちだった。

 

食事を終えて、部屋に戻るまで。
いつものように、他愛無い会話を交わしながらふたりで通路を進んだ。
けれど、部屋の扉が目の端に映ったとき、少しだけ体が強張るのを感じた。
「キラ?」
不思議そうに、促すように名前を呼ぶアスランの声は、いつもと変わらない。
「ううん」
なんでもないよ、という言葉は飲み込んで、先に扉の前に立つ。
シュンッ
空気の抜けるような音を立てて、部屋の扉が開く。
主がふたりともいなかった部屋は、薄暗い。
明かりをつけようとして思わず伸ばした手を、掴まれて。
「明かりはいらないだろ?」
アスランが耳元で低く囁く。
後ろから抱き込まれて、身動きの取れない僕の体に、アスランが手を這わせていく。
「アスラ……」
焦ったように名前を呼ぼうとする僕の唇を、自分の唇で塞いで。
その間も、アスランの手は休むことなく動いていて。
僕の弱い場所を、的確に攻めていった。
体中を駆け巡る痺れに、全身が総毛立つ。
その感覚に耐えようと、無意識のうちにぎゅうっとアスランの軍服を掴んでいた。
「ン…ぁ…っ、アスラ…ン」
ようやく唇が放されると、力の入らない手でアスランの体を引き剥がそうとした。
支えがなければ立っていられないほどではあったけれど。
「シャワー…、浴びさせて……っ」
でも、そんなことはとっくにアスランにはわかっていて。
「今はそれよりこっち、だろ?」
薄暗くてはっきりとはわからなかったけれど、口元だけで笑ったアスランが片手でしっかり僕の腰を支え、もう片方の手をズボンの中に滑り込ませた。
「…ぁ……ッ」
まだ慣らしてもいないそこに、アスランが乱暴に割り入ってくる。
「キラ……」
耳元で囁く声は、優しいのに。
無理矢理こじあけられた躯はそれでもアスランを受け入れて。
生理的な涙とはまた別に、涙が溢れてくる。


何も言わずとも、お互いの気持ちを知っていた。
互いの心を、わかり合っていた。
けれど。

(わかんないよ…)
何度も何度も貫かれながら、瞼の裏に浮かぶのは、昔と変わらない昼間の優しい笑顔と、夜にだけ見せる表情(かお)。
(わかんないよ、アスラン…)

アスランの気持ちが。
わからない ――


--- 2004.2.19 ---

「お疲れ様です、キラ」
「ラクス」

柔らかい笑顔を浮かべて、戦闘から戻ってきたばかりのキラにラクスが労いの言葉をかけた。
かつてはプラントで一番の人気を誇っていた歌姫は、今は戦艦エターナルの艦長をしている。
実際の戦闘での指揮はバルトフェルドが執っているものの、艦の中での行動の指揮はやはりラクスが執っていた。
その忙しさの合間を縫って、こうしてわざわざ出迎えてくれる。
柔和な物腰と、どこか掴み所のないような言動の中に、他者に対する優しさと、何物にも屈しない強さを秘めていることを、キラはもう知っていた。
そして、その笑顔のヴェールに隠された鋭さも。

「まだしばらくは連合軍も攻めてこないでしょうから、今はゆっくり休まれてくださいね」
「うん、ありがとう」
それでも、この笑顔は確かに心を和ませてくれる。
ラクスの笑顔がキラは好きだった。
「アスランもお疲れ様でした」
遅れて戻ってきたアスランに気付いたラクスが、笑みを浮かべたまま振り返る。
「あ…はい」
ぎこちない笑みを浮かべて、アスランが答えた。
そしてそのまま肩を抱くようにキラを引き寄せる。
「着替えよう、キラ」
「あ、うん。…じゃあ、ラクス」
「はい」
慌ててラクスに向き直るキラに、回した腕に力を込めてアスランは目の前のロッカールームに入って行った。

 

指が食い込むほどの力で抱かれた肩に、鈍い痛みが走る。
「ア、アスラン…?」
アスランのぎこちない態度に、キラがどうしたのかと顔を覗き込もうとすると、
「ん、ぅ……っ」
ロッカールームの扉が閉まった途端、アスランが強引にキラの唇を奪った。
掴んだ肩をそのままに、扉にキラの体を押し付けるようにして。
「っは……」
まだ艦では昼と設定されている時間だった。
「アスラン…?」
けれど、アスランから与えられたキスは、昼間のそれではなくて。
戸惑って名を呼ぶキラの唇を、再び塞ぐ。
躊躇いがちに、それでもキラはそれに応えた。
いつも以上に激しく貪られながらも、従順ともとれる素直さで。
ようやく唇を放されて、ぼんやりした頭でアスランの顔を見上げると。
「…っ」
表情を、なくしたままで。
その姿に、キラの頭にかかっていた白い靄が一瞬に霧散する。
「ア……」
怯えたような瞳で、名前を呼ぼうとしても最後まで呼ぶことができない。
そんなキラに、アスランが冷たく笑ったかと思うと。
「え…」
キラの体を背中から抱き込み、パイロットスーツのジッパーに手をかける。
「や…っ」
そしてそのまま、キラの躯を弄っていく。
「アスラ…、待ってよ」
「なんで?」
焦ってキラが声を荒げると、手を休めぬまま、アスランが冷たい声音で聞き返す。
「だってラクスが…」
まだ通路にいるかもしれないのに、と続けるキラに、
「…聞かれたら困る?」
何故か楽しそうに、アスランがそう返してきた。
「だって、ラクスは君の…っ」
「俺とラクスはとっくに赤の他人だよ」
「え…?」
一瞬、キラは呆けたように首だけ動かしてアスランを見つめた。
「嬉しい? ラクスはもう俺の婚約者じゃないんだよ」
冷たく口元に笑みを浮かべて、相変わらず手はキラの肌を這い回りながらアスランが続ける。
「安心した? これで俺に遠慮しなくていいって」
「……? 何、言って…、ぁ…ん……っ」
言われた意味がわからぬまま、アスランの指が辿る度に、言いようのない感覚が湧き起こった。
容赦なく煽られて、キラの躯は余すところなく熱を帯びていく。
嬲られたそれはアンダーの上からでもわかるほどに固く尖りきっていて。
それでもキラは、必死に声を漏らすまいと唇を引き結んでその感覚に耐えていた。
「ひぁ…っ」
けれど、一番敏感な部分の周囲をなぞるように這い回っていた手に握り込まれた瞬間、堪えきれずにキラの口から小さく悲鳴が洩れた。
一度上げてしまった嬌声は、もう抑えることができなくて。
それでもどうにか外に漏らすまいと、涙を堪えたまま、両手で口元を押さえるしかなかった。
「…ン……ふ…」
くぐもった呻きを漏らしながら、それでもキラはあっさりとアスランの手の中で果てた。
「あ…」
肩で息をしながら、キラは体をアスランに凭れかけさせる。
どんなに酷くされても、力の抜けそうになる体を預けることはできた。
相手が、アスランだから。
けれど、放たれたものを絡めたまま、アスランが窄みに指を挿し入れると、
「や……っ」
体を強張らせて、キラはこどもがいやいやをするように頭を振った。
「…なんで」
少し苛立たしげに問い質すアスランの声を、途中で遮るように、
「ここじゃ…やだ…っ」
消え入りそうなほど小さく、キラが涙声でそう言った。
その言葉に、一瞬、キラを抱きしめたままのアスランの手が緩む。
すると、力の入らない足は体を支えきれずに、キラはその場に蹲ってしまった。
「…相変わらず我儘だな、キラは」
そんなキラの顔を、膝をついてアスランが覗き込む。
「ここじゃなかったら、いいの?」
意地悪く、そう訊かれて。
羞恥と、それとはまた別の感情が混ざり合って、涙が溢れそうになる。
けれど、知っていた。
躯の奥から湧き上がる熱を鎮めることができるのは、アスランだけだと。
知ってしまって、いるから。
だから。
唇を噛みしめて、俯いたまま。
コクンと、頷いた。

 

--- 2004.3.1 ---

ロッカーから続くシャワールームから出た時には、通路にはもう人影はなかった。
その事に僅かに安堵しながらも、キラは複雑な心境で自分の前を行くアスランの背中を見遣った。

『ここじゃ…やだ…っ』

恥ずかしさに俯きながらも、思わず口をついて出た言葉。
その後のアスランは、いつものアスランで。
それ以上触れようともせずに、シャワーを浴びて着替えるよう促された。
そして今、ふたりで部屋に戻るところだった。
(アスラン…)
部屋に戻ったとき、そこにいるアスランは、どちらのアスランなのだろう。
(わかんない、よ…)
シャワーを浴びても、躯の奥を焦がす熱は治まりはしなかった。
けれど。
触れられる度、抱かれる度に、熱くなる躯とは対照的に、心は凍える一方で。
(アスラン…、わかんないよ……っ)
覆う氷は溶けることはなく、凍った心はそのまま粉々に砕けてしまいそうだった。

「何してるんだ?」
言われた言葉にハッと我に返る。
いつの間にか部屋まで戻ってきていたらしい。
入口に立ち尽くしたままのキラに、アスランが抑揚のない声で続けた。
「キラから誘ったんだろう?」
そう言いながら、キラの顔を覗き込む。
「自分から脱ぐくらい、してよ」
意地の悪い笑みを浮かべたまま、キラの耳元で囁いた。
「……っ」
信じられないという顔でアスランの顔を見ると、その瞳は笑ってはいなかった。
きり…
胸の奥が軋む。
(アスラン…)
爪が食い込むほどに、拳を握りしめる。
泣きたくなる気持ちを、必死に抑えつけて。
震える指で、軍服に手をかけた。
唇を噛んで俯き気味に脱いでいくキラの姿を、アスランは目を逸らすことなく見つめていた。
パサ…
最後の1枚が床に落ちる。
先ほどシャワーを浴びたばかりなのに、体は冷え切っていて。
けれど、アスランの視線の先の肌は、灼かれるように、熱い。
そしてその視線に誘(いざな)われるまま、躯の奥から疼くようにまた熱が湧き起こってくる。
―― 心とは、対照的(うらはら)に。
ぞく…っ
素肌に感じる寒さと、内から這い登ってくる熱との温度差で、キラは体を震わせた。
アスランはそんなキラを、無感情ともとれる表情で見つめたまま。
「ベッドの上に座って、足、開いて」
優しい声音でアスランが囁く。
けれどどこか、冷たさを含んだその声に。
また心に冷たい棘が刺さる。
それでもキラは、命ぜられた通り、ゆっくりとシーツに腰を下ろし、おずおずと足を開いた。
羞恥と、もどかしさと、…悔しさに、思わず滲んだ涙と、そして。
先端に留まっていた、雫が。
同時に、零れ落ちた。
とても長く感じられた静寂の中で、アスランがクスッとひとつ笑った。
「何? 見られただけで感じる?」
「違……っ」
「じゃあ…」
零れ続ける透明な雫を絡め取るように、長い指で掬ってみせる。
「これ、何?」
見せつけるようにゆっくりと、その雫を口に含んで。
「ん……っ」
そしてそのまま、キラに口付ける。
自分の舌を、キラの舌に擦りつけるように絡め合って。
「…ぁ……」
「わかった? 今のが、キラの味」
「…っ」
楽しそうにアスランが囁く。
けれどすぐに、表情をなくした顔で。
「…なんで、泣くの? キラ」
「泣いてなんか…っ」
「うそつき」
ぽつりと、呟いた。
「アス…ラン……?」
そしてすっと、キラから離れた。
小さな呟きではあったけれど、そこに含まれた何かを感じ取ってキラは思わず名前を呼んだ。
けれどアスランはじっと動かぬままで。
キラもそのまま、アスランを見つめていた。
どれくらいの時間をそうしていたのかわからない。
アスランは一向にキラに触れようとしなかった。
先程の呟きに含まれたものが何かはわからないけれど、何かがひっかかっていた。
羞恥や悔しさも掻き消してしまうほどに。
けれど、熱を帯びたままの躯は、鎮まることを知らぬかのように、雫は溢れ続け、シーツを濡らしていった。
「アスラ、ン…」
静寂に耐えられずに、震える声で名前を呼ぶ。
すると、口元だけで笑ったアスランが短く答えた。
「何?」
「………」
相変わらず冷たく響くその声に、また泣きそうになったけれど。
ぐっと堪えて、アスランの瞳を見つめ返した。
先程感じたものが何か、答えをその瞳の中に探すように。
気のせいかもしれない。
けれど、その翡翠の瞳が揺れたような気がして、キラが名前を呼ぶよりも早く。
「どうして欲しいの?」
アスランが静かに口を開いた。
「……」
「言わなきゃ、わからないよ? キラ」
(…わからないのは、君の方じゃないか……っ)
思わず叫びだしそうになるのを必死に抑えて。
泣きだしたい心も、抑えつけて。
「……て」
消え入りそうな声で、呟いた。
「聞こえない」
たとえ、どんなに酷く扱われても。
アスランの心が、わからなくても。
「…し、て……」
それでも、求めてしまうから。
躯も、…心も。
アスランを、欲しているから。
「…ダメだろう? ちゃんとねだらないと。…これが」
そう言いながら、アスランが素早くベルトに手をかける。
「…っ」
「欲しい、って」
そしてそのまま、怒張しきったそれをキラに突き立てた。
「…ぁ…っ、は…ぁ、ん……っ」
苦しげに眉根を寄せながら、それでも確かに洩らす吐息は甘い響きを含んでいて。
腕の中で乱れていくキラを、どこか醒めた心で眺める自分がいた。
それでも律動は激しさを増し、より深い場所まで犯すように、キラの足を更に持ち上げた。
「あ…ぁ…っ、ぁ…」
「…そうやって、誰にでも足を開くの? キラ…」
思わず洩らした呟きは、熱に浮かされたキラの耳に届く前に掻き消されていた。


--- 2004.4.22 ---

カレンダー
05 2026/06 07
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
フリーエリア
最新記事
(06/03)
(06/03)
(06/03)
(06/03)
(06/03)
(06/03)
(06/03)
(06/03)
(06/03)
(06/03)
プロフィール
HN:
神崎 廉
HP:
性別:
非公開
自己紹介:
絵描き兼字書き。
真性アスキラー。
思いもよらずダブルOが歴代G
の中で一番好きな状況に。
成層圏の向こう側まで狙い
撃つ兄貴を愛してやまず。
BAS●RAの影響で戦国史に
どっぷり。VIVA眼帯。
えろすきーだけどホモスキー
に非ず。
オフラインでは【絶対零度】
というサークル名で活動中。
バーコード
ブログ内検索
アクセス解析
忍者ブログ [PR]
"神崎 廉" WROTE ALL ARTICLES.
PRODUCED BY NINJA TOOLS @ SAMURAI FACTORY INC.