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どれだけ祈ればいい?
どれだけ願えばいい?
……どうすれば、
”奇跡”は起きる?
●
何度も祈った。
その、蒼い光に。
奇跡が、起きるように。
ドック内は異常な緊張に包まれていた。
収容された紅い機体は、先程の戦闘で原型を留めていない。
かろうじて残ったコクピットが開かれる。
銃を構えて、そのパイロットが降りてくるのを待ち構えるクルー達。
囲まれたまま、静かにアークエンジェル内に降り立ったパイロットがヘルメットを脱ぐと、先頭に立っていたマリューは驚きの声を上げた。
「こども……!?」
「…別に驚くことはないでしょう?」
翡翠の瞳が、静かにマリューを見据える。
「あなた方だって、ストライクにキラを乗せているくせに」
「!? あなた…」
「アスランっっ」
マリューの声と、ストライクを降りたキラの声が重なる。
アスランを庇うように、キラが躍り出る。
「銃を下ろしてください!!」
「ヤマト少尉、何を!?」
それまで皆と同様驚いて自分を庇うように立つキラを見つめていたアスランが、ふと目を眇める。
「少尉、ね」
「アスラン…?」
「地球軍じゃないと、中立だと言っていたおまえが、今じゃ少尉なのか」
「だって…僕は」
守りたかったんだ。
………何を?
自分を庇うキラの手を避けて、アスランは前に出ようとする。
「アスラ…」
「キラ、おまえの親友だったアスラン・ザラはもういない」
「!!」
「そして、…僕の親友だったキラ・ヤマトももういない」
―― 僕は…何を期待していたんだ?
「ここにいるのは、ただのザフトの兵士と連合軍の士官だ」
「な…に、を」
―― アスランだけは、いつでも、僕を受け止めてくれると?
たとえ、何があっても。
「だから、忘れるんだ、キラ」
何を?
何を忘れるというの?
「僕と過ごした時間も、僕のことも、全部、忘れるんだ」
「忘れられるわけ…ないじゃないか」
信じられない言葉に、それだけ言うのがやっとだった。
「振り払ったのはおまえだろう!?」
こらえきれずにアスランが激昂する。
「僕の手を振り払ったのはおまえじゃないか…!!」
「そんなの…そんなの、僕の本心じゃないって知ってるくせに ―― っ!!」
「知っているさ、知ってるよ、そんなこと。どれだけの時間を共有したと思ってる? どれだけおまえを見てきたと思っている!? …どれだけ」
君を、
想ってきたか。
「アスラ…」
……知っているから。
わかっているから、だから。
余計にやりきれなくなる。
「おまえこそ知っているのか? どうして僕が軍に身を置くのか。もう二度と大切なものを失いたくなかったから、守りたかったから、だから…」
「………っ」
「それなのに、どうして」
拳を震わせて、アスランが叫ぶ。
「どうして、その一番大切な相手と戦わないといけないんだ ―― っ」
「……僕だって」
そして、キラも。肩を震わせながら。
「誰が好きで君と戦うもんか……っ!!」
どうして。
なぜ。
何度繰り返したかしれない。
でも、目の前にある現実は。
「僕は、血のバレンタインを引き起こしたナチュラルを許すことはできない…っ」
「ザフトだって、ヘリオポリスを沈めたじゃないか……!」
「我々は沈める気なんて更々なかったんだ!! ナチュラルがあんなものを作るから」
「それでもヘリオポリスの人たちは、ただ静かに暮らしていたかっただけなのに」
「ユニウスセブンの人たちだってそうだ」
会話はずっと平行線のまま。
相容れない。
願いは、同じであるはずだったのに。
「キラ、…どうしたってこの現実は変わらないんだ。僕はザフトで、君は」
地球連合軍の士官なのだと。
「僕たちの道は、もう分かたれてしまったんだ」
「………っ」
ドッグ内が静まり返る。
「…お騒がせしました。どのような処遇でも受ける覚悟はできています」
「アスラン!?」
その言葉に我に返ったマリューが指示を出していく。
「トノムラ曹長、彼を連行して」
「はい」
「アスラン、アスラン ――!」
何度、呼びかけてみても。
もうその背中は、振り返ることはなかった。
「ハウ二等兵、後で彼に食事を運んであげて」
「あ、はいっ」
「それから…」
アスランの背中を見つめたまま動こうとしないキラに、マリューが呼びかける。
「ヤマト少尉、着替えたらすぐ艦長室に来るように」
「……はい」
「…ふよういな発言は控えるように、いいわね」
コンコン
控えめなノックの後に、ドアを開ける。
ザフトの軍服に身を包んだ少年がそこには居た。
自分たちと同年代の…コーディネイター。
つい先程まで、自分たちの”敵”として戦場にいた。
そして、キラの”親友” ――
「あの…、食事…どうぞ」
ためらいがちに声をかけると、
「…ありがとう」
ぎこちなく向けられた微笑だった。それでも憂いを帯びた翡翠の瞳がとても綺麗で、思わず見蕩れてしまいそうになったとき、開けられたドアの向こうから微かに羽音が聞こえてきた。
「あ、こら…」
驚いたミリアリアが止める前に、その羽音の持ち主は部屋に入り込んできていた。
「トリィ……?」
翡翠の瞳が驚きで見開かれる。
「あいつ…本当に……」
『とても大切にしていらっしゃいましたわ』
ラクスの言葉を思い出す。
彼女の言葉を疑っていたわけではない。
それでも、心のどこかで信じていなかった。いや、信じるのが怖かったのだ。
けれど…
「トリィ」
あれから早3年。それでも贈ったときのまま、トリィは囀っている。今、この自分の手の上で。
「トリィだけは変わらないんだな…」
優しくその頭を撫でながら、どこか懐かしそうに、どこか哀しげに、そして、自嘲気味に呟く。
その様子を見ながら、漠然と予想していたことが事実だったことにミリアリアは気づいてしまった。
(この人だったんだ…)
キラがいつも連れていたペットロボ・トリィ。
どこに行くのも一緒で、とても大切にしていたから尋ねたことがあった。
そうしたら、キラはとても嬉しそうにこう言ったのだ。
一番大切な人から贈られたものだと。
「ずっとキラを見ててくれたんだろう? 僕の代わりに」
優しくトリィを見つめながら。
その瞳は、何を映しているのか。
何を思い描いているのか。
過ぎ去った優しい時間か。
共に在れなかった時の互いの姿か。
……それとも ――
「これからもキラを守るんだぞ、トリィ。……もう僕は」
あいつを守ることはできないから。
静かな囁き。
それでも、胸を抉るには充分すぎるくらいの想いに、
「ごめんなさい……っ」
「え…?」
それだけ言って、ミリアリアは部屋を飛び出て行った。
まるで逃げ出すように。
…そう、逃げたのだ。
自分でもわかっていた。
直視することが出来なかったのだ。
自分が…自分たちがしてきたこと。
”友達”という名前を盾に、このふたりに償えない罪を犯してしまったことを。
「ごめん…ごめんね……」
謝ってすむことじゃない。
それでも今の自分にはそれしかできない。
食事を運んだトレーを抱きかかえたまま、ミリアリアは通路でひとり嗚咽した。
「失礼します」
パイロットスーツから地球軍の軍服に着替えたキラが艦長室に入ると、そこには既に艦長のマリューだけでなく、フラガ少佐とバジルール中尉も控えていた。
「まずは先の戦闘、よくやりました、…と言っても、あなたには嬉しくないでしょうね」
「………」
キラは答えない。
フラガもナタルも黙って成り行きを見ている。
「イージスのパイロット、アスラン…と言ったかしら」
その名前に反応して、キラの身体がびくっと震える。
「話してくれるわね? あなたと…彼の関係」
「……彼は」
キラが重い口を開く。
「アスラン・ザラは、僕の幼年学校時代からの親友です」
「!?」
先程のふたりのやりとりでわかってはいたものの、キラの口から語られる事実に驚愕は隠せない。
「あなたは、彼がイージスのパイロットだということを知っていたのね」
「…はい」
「そして彼も…あなたがストライクのパイロットであることを知っていた」
「………はい」
マリューが重い溜息をつく。
事実を知れば、今までの戦闘で不可解だった点も合点がいく。
それまで黙って聞いていたフラガがふいに口を開いた。
「ザラってことは…ザフト国防委員長の血縁者か?」
「ええ、パトリック・ザラはアスランの父です」
「なら、彼の身柄は和平交渉に使えるってわけだ」
「!?」
「だってそうだろう? いつぞやの歌姫は救助した民間人、でも今回、彼の立場はあくまで連合軍の捕虜だ」
「そ、それは…」
キラが唇を噛み締める。
「おまえ、大事にされてただろう?」
「え…」
「仲、良かったんだろ?」
「……はい、小さい頃から何をするにもずっと一緒で」
静かに語るキラの口調は、どこか諦めを含んでいるようにも聞こえて、やりきれない思いのまま、マリューはふたりの会話を聞いていた。
「だろうな。今も大事にしてるよな、あいつ、おまえのこと」
「そんなこと…ないですよ」
先程のやりとりを思い出す。
あれだけ自分は彼の手を振り払っておきながら、心のどこかで彼だけは自分のことを見捨てないと思っていた。
どこからそんな驕った考えを抱くようになったのか。
否定された時の事を思い出すと、全身が引き裂かれるような痛みに襲われる。
そしてアスランは、何度そんな思いを味わったのだろう。
そんな思いをさせてしまったのだろう。
この、自分が。
―― そう思うことも、驕りだろうか。
「何言ってる、見てりゃわかるよ」
あの少年が、どれだけキラを大切にしているか。
「血のバレンタインのことも言っていたようだけど…」
「レノアおばさん…アスランのお母さんも、血のバレンタインで亡くなった、と言っていました」
厳しいところもあったけれど、とても優しかったアスランの母。
アスランと同じ、意思の強い瞳をして。
そんな彼女が、大好きだった。
アスランはどんな思いであの惨劇を目の当たりにしたのだろう。
どんな思いでいたのだろう。
自分が呑気にヘリオポリスで戦争とは無縁の暮らしを送っていたとき。
「戦争なんか嫌いだって、ずっと言っていたのに…」
「……戦争が好きな人間なんて、そうそう居ないわ」
やりきれない思いをふりきるかのように、キラを見据えてマリューが艦長としての言葉を発する。
「どんな事情であれ、艦の空気を乱すような発言は慎みなさい。ヤマト少尉は三日間の謹慎処分とする…と、言いたいところだけれど」
「?」
「あいにく人手も足らないし、ヤマト少尉には捕虜の監視を命ずる」
「艦長!」
ナタルの非難を目で制し、再びキラの方に向き直る。
キラはといえば、思ってもみなかったであろう展開に呆けている。
「ヤマト少尉、返事は?」
「は、はいっ」
その言葉に我に返ったキラは、マリューの心遣いを察し、思わず頬が緩んでいた。
「失礼します」
心なしか足取り軽く出て行ったキラの後姿を見送って、三度マリューが溜息をつく。
「戦争ってのは…本当に惨いわね」
知らなかったこととはいえ、どれだけ惨いことをあのふたりに強いてきたのか。
そして、これからも強いるのか。
「しかし艦長、いいのですか?」
「せめて今くらい、一緒に居させてあげてもいいんじゃないかしら」
「ですが…」
「わかってるわ、ナタル。軍人としては甘いのはよくわかっているの、でもね」
どこか遠くを見つめるように。
「この戦争が終わったとき…人としての優しさまで失ってしまいそうで、怖いのよ」
「……今の言葉、聞かなかったことにします」
「…ありがとう」
入ってきた人物を見てアスランは呆然とした。
「………何のつもりだ? キラ」
そこに立っていたのは、シーツを抱えたキラだったからだ。
「アスランの監視、任されたから」
「任された、って…」
そう言いながら、ずかずかと部屋の中に入ってくる。
キラの肩に乗っていたトリィも、我が物顔で部屋を飛び回っている。
呆気にとられているアスランを尻目に、キラはシーツをベッドの上に置き、自分はその上に腰掛けた。
「…で」
ようやく我に返ったアスランがキラに問い掛ける。
「なんで枕がないんだ?」
「あるじゃないか、そこに」
にっこり笑いながら、アスランの腕を指差す。
「って、おまえ一緒に寝るつもりなのか?」
「そうだよ」
あっさり答えられて、思わず脱力してしまう。
「昔はよくそうやって一緒に寝てたじゃないか」
「あの時とは体型も違うだろう…じゃなくて。おまえ、僕の話を聞いてなかったのか?」
今、自分は敵軍の捕虜としてここにいるのだ。
「今の僕はザフトの兵士で、おまえは…」
「嫌だよ」
アスランの言葉を遮るように、キラが短く言葉を発する。
真っ直ぐにアスランを見つめて。
揺るぎのない、瞳で。
「僕はここで寝る」
「……駄々っ子みたいなことを………」
上目遣いで見つめられて、アスランは思わず溜息をつく。
(その顔に弱いこと、知っててやってるだろう…)
「まったく…」
わざと大きく溜息をついて見せてから、ふわりとキラを抱きしめる。
「キラは言い出したらきかないから」
「…アスランこそ」
拗ねたように言いながら、少し躊躇いがちに、キラも腕を伸ばす。
一度抱きしめてしまえば、もう離せるはずなんてなくて。
「アスラン…アスラン……っ」
ずっと、帰りたかった場所。
安らげる唯一の場所。
「忘れたりなんか、しないから」
「キラ…」
「アスランがどう言おうと、僕は絶対、忘れない」
忘れられるわけがない。
だってこんなにも渇望しているのに。
その存在を。
その体温を。
その、すべてを。
真っ直ぐなその瞳がとても好きで。
優しい微笑みも、自分の名を呼ぶ声も、全部、大好きで。
忘れていたわけじゃない。
ただ、考えないようにしていた。
失うことを恐れて。
この手で、その存在を奪い去ることを、恐れて。
(失うことを望んだわけじゃない)
とくん
とくん
アスランの鼓動が聞こえる。
(なんで、こんなに落ち着くのかな…)
あの頃のように、優しい温もりと鼓動に包まれて、睡魔に誘われていく。
「ねぇアスラン、僕、ずっと…」
祈ってたよ、また、こうして ―― …
「キラ…?」
腕の中のキラは静かな寝息を立てている。
(これはこれで、ある意味拷問だな…)
苦笑しながら、それでも愛しそうに柔らかな髪を梳く。
「おやすみ、キラ」
昔のように。
それが、たった一瞬の幻でも。
それでも、その存在をこの腕に閉じ込めておきたくて。
大切な温もりを抱きしめたまま、アスランも眠りに落ちていった。
束の間の安らぎだと、知ってはいたけれど。
『キラは奇跡って信じる?』
『奇跡?』
『何かを一生懸命祈れば奇跡は起きる、って』
『本当!?』
『キラは信じる?』
『う…んー……、でもそうだったらいいね』
『じゃあ、例えば、僕たちが離れ離れになって』
『ええ!!? 嫌だよ、僕、そんなの!!』
『だから例え話だってば』
『あ、そ、そうだよね』
『で、もし会えなくなったら』
『……嫌だよ、そんなの』
『キラは、どうする?』
『………奇跡が起きるなら、祈るよ、アスランに会えますように、って』
『じゃあ、もしも、そんなことになったら、祈ろう? そうだね…僕たちが初めて会った、この場所に』
『月に、祈ろう』
そうすれば、きっと。
『僕たちはまた会えるよ』
《ヤマト少尉、キラ・ヤマト少尉は至急ブリッジへ。ヤマト少尉はアスラン・ザラを連れて至急ブリッジへ》
真夜中すぎ。
けたたましい呼び出し音に束の間の安息を邪魔されたふたりは、互いの顔を見合わせ、急いで身支度を整えてブリッジに向かう。
そこには艦長をはじめ、メインクルーがほとんど集まっていた。
その全員が、モニターを凝視している。
ブリッジのメインモニターに映し出された父の姿を認めて、アスランは不審に思う。
(なぜ、父さんが連合軍のモニターに映っているんだ……?)
『我々コーディネイターの力を貪り、我々コーディネイターを自ら作り出しながら、その力を妬み、恐れたナチュラルどもは、愚かにもこの戦争をやめようとはしない』
どうやら電波ジャックで地上波もすべて占拠しているらしいその放送の中で、パトリック・ザラは熱弁をふるっていた。
『我々は、あの惨劇を忘れない。血のバレンタインで私の妻も死に、そして私の息子、アスラン・ザラも先の戦闘で戦死した』
「!!?」
その場に居た全員が驚きに息を呑む。
「父さん…? どういう…事だ……?」
その時、モニターの隅に映った仇敵の姿をフラガは見逃さなかった。
「あいつ…図りやがったな」
『我々はこれ以上、ナチュラルどもの暴挙を許すわけにはいかない。宇宙は我々、コーディネイターが正しく導くべきものである』
モニターの中で、割れんばかりの拍手と歓声が沸き起こる。
『すべては、ザフトのために』
『ザフトのために!!』
モニターを見つめていたキラは、はっとなって隣のアスランを振り返る。
アスランは、顔面蒼白なままモニターを凝視していた。
「父は…僕まで戦争の道具に使うのか………!?」
守りたいなら戦うしかない。
そう言っていたのに。
守りたいからこそ、戦いに身を置いたのに。
どこで、変わってしまった?
どこで、狂ってしまった?
「アスラン!?」
身を翻してブリッジを出て行ったアスランを追って、キラも走り出す。
「アスラン、待ってよ!!」
アスランが向かっているのはドッグの方だ。
今からアスランが何をしようとしているのか、予測はつく。
「アスラン!!」
やっと腕を掴まえる。
「離せ、キラ!」
「嫌だ!!!」
あまりに強い語気に、アスランは一瞬怯む。
「嫌だ、もう離さない」
「キラ…?」
「イージスは飛行できる状態じゃない」
「!!」
「でもストライクはまだ動かせる」
「キラ、おまえ…」
驚いてキラを見つめると、穏やかに笑っている。
「プラントに行くんだろう? 僕も一緒に行く」
「おまえ、何を…」
「もう、嫌だよ。もう僕は、アスランと離れたくない」
「キラっ!!」
ふたりの後を追ってきたトール達が、やっと追いついて声をかける。
そこに居る”友達”を守りたくて。
何度も、一番大切な人の手を振り払ったけれど。
「僕はもう、自分に嘘はつきたくないんだ」
迷いのない瞳で、その場にいた全員に告げる。
「だから僕は、アスランと一緒に行く」
そしてちょっとおどけながら、
「アスランがいくら嫌だって言っても、行くから」
それでも、有無を言わせぬ強い響きで。
「…いいよ、行って来い」
初めに口を開いたのはトールだった。
「ただし! 絶対死ぬなよ」
「トール…」
「この戦争が終わったらさ、みんなで遊ぼうぜ? アスラン…だっけ、君も一緒に」
「……ああ」
「いってらっしゃい、絶対絶対、約束だからね?」
「ミリアリア……」
「おい、おまえら、何をしてる!?」
マードックの声に現実に引き戻されたトール達は、急いでドッグに走る。
「ハッチは俺達がどうにかするから、キラ達は早くコクピットへ ――!!」
「ありがとう…!」
(違うよキラ、礼なんか言っちゃダメなんだ)
走りながら、トールは思う。
本当はもっと早くこうするべきだったのだ。
どうすれば、キラが一番幸せになれるのか。
本当の友達ならば、それを考えて然るべきだったのに。
(ごめんな、キラ…)
ならばせめて、今できることをしよう。
こんなことで、許されるとは思っていないけれど。
(それでも)
それでも、大事な友達に変わりないから。
(死ぬなよ、キラ)
いつかまた、みんなで笑い合える日が来るように。
トール達が走り去るのを見送って、キラはアスランに向き直った。
その前に、アスランの手が差し出される。
「行こう、キラ」
その手に、自分の手を重ねて。
「うん」
繋いだこの手を、もう二度と離さないように。
「怖くない?」
「…怖くなんかないよ、アスランを失うことに比べれば」
ようやく出せた答え。
たとえ他の何を失っても。
ただひとりだけは。
失えない。
失いたくない。
「じゃあ、僕たちには怖いものなんてないな」
「え?」
「僕だって、キラを失うことが一番怖かったんだ、だから…」
だから今は。
「もう、その心配はないだろう?」
向けられた眼差しはあの頃のまま、変わらずに。
優しくて、真っ直ぐで。
「うん、もう…怖いものなんてないね」
だから、大丈夫。
もう、大丈夫。
まだ未来(さき)は見えないけれど。
たとえ、どんなに傷ついても。
何を失っても。
ただひとり。
たったひとりの。
大切なひとの、傍に在る限り。
「もう離れたりなんかしないから」
「艦長! ストライクが ――っ!!」
「……本部に打電。キラ・ヤマト少尉は先の戦闘で負った傷により、たった今死亡した、と」
「艦長!?」
ブリッジ内がざわめく。
「同じく戦闘により大破したストライクは廃棄した、とも」
「艦長、あなたは……っ」
蒼白な顔で、ナタルが詰め寄る。
「聞こえなかったの? 通信士、連絡を」
「は、はい」
「艦長…!!」
「いい? キラ・ヤマトという地球軍の少尉は死んだの。……彼等には彼等の戦いがあるのよ。そして、私たちにも」
「ですが――」
「あの子達が、私たちの敵になることはないわ…… 求めるものは、きっと一緒だから」
(きっと、ね…)
「ストライクを失った今、戦況はますます厳しくなります。これからの戦闘も熾烈を極めるものと思われます。この中で、艦を降りたい者は名乗り出てください」
ブリッジがまたざわめく。
「艦を降りたい者は?」
再度訊くマリューの言葉に、艦橋は水を打ったように静まりかえる。
「止めはしません、私が許可します」
「…ま」
それまで黙って聞いていたフラガが口を開く。
「ここまで来たんだ、最後まで付き合うさ」
「フラガ少佐…」
「そうですよ、艦長」
ブリッジ内がまた活気付く。
「みんな…」
「最後まで我々の面倒は見てもらいますよ…艦長」
「バジルール中尉」
「……泣いている暇などないですよ」
「ええ…、ええ、そうね」
ちょっとバツの悪そうな顔で言われたナタルの言葉に、涙腺が緩みかけていた顔を引き締め、マリューは艦長席に戻る。
ここが、自分の在る場所。
そして、キラの在るべき場所は、あの少年の隣なのだ。
(ごめんなさい…、そして、ありがとう)
きっと、彼等も、そして自分たちも、進む道は決して楽なものではない。
それでも、進んで行く。
生きるために。
大切なものを、守るために。
(生きなさい、キラ君)
誰の為でもなく。
自分の、為に。
「アークエンジェル、発進!!」
何度も、何度も祈った。
蒼い、けれど、優しい光に。
どうかまた、共に在れるようにと。
祈りは、いつか届くから。
願いは、いつか叶うから。
「だからもう、大丈夫」
もう二度と、離れない。
--- 2003.2.28 ---
何かが、舞っている。
淡い、色の。
(花びら……?)
あの日。
自分と、アスランの上に降った。
(桜…?)
輪郭はぼんやりとしたままで。
淡くて優しい光に包まれたまま、進んでいく。
その先に。
彼は、待っていた。
「アスラン…っ」
思わず駆け出す。
けれど、思うように進めない。
もう少しで届きそうなのに。
もどかしさに苛立ちながら。
言いようのない不安に、怯えながら。
やっと、彼の許にたどり着く。
「アスラン……」
呼びかけても。
少し悲しそうに、微笑んだまま。
(どうして、何も言ってくれないの?)
「キラは…」
ようやく、アスランが口を開く。
「おまえは、人を疑うことを知らないから」
躊躇いがちに、瞳を伏せて。
「それはおまえのいいところだけど、同時に短所でもある」
伏せていた瞳を、今度は真っ直ぐにキラに向けて。
「おまえは、純粋すぎるから…」
(そんなこと、ないよ)
その真っ直ぐな視線が、痛い。
まるで、心臓に突き刺さるかのように。
(だって、僕の手は……)
もうこんなに、汚れてしまったのに。
見つめた両手は、真っ赤に染まっていて。
いつか、その赤に。
アスランの色も、加わるのだろうか…
ズキン
(痛い…っ)
思わず胸を押さえる。
(アスラン……っ)
見上げたアスランの顔は。
やっぱり、悲しく笑ったままで。
思わず手を伸ばすけれど。
(ダメだ)
こんな手では。
もう、二度と。
触れられない……
と。
伸ばしかけた手を、アスランが掴む。
そしてそのまま、自分の頬に持っていった。
アスランの頬が、血で汚れる。
「キラ…」
(…ダメだ)
「……て」
そして、自分の口からは。
(言っちゃ、ダメだ ―― )
「助けてよ、アスラン」
……ずっと、
「僕が、僕じゃなくなってしまう…」
心の中で叫んでいた。
「傍に、居てよ…」
選ばなかったのは、自分。
何度も提示してくれた、一番幸せな選択肢。
それを頑なに拒んだのは、自分なのに。
(身勝手すぎる)
わかっていた。
けれど。
いつも、最後は助けてくれた。
その優しさに、甘えていた。
それが、当たり前だと思っていた。
「アスラン…っ」
……アスランは、
あの頃よりも大人びた顔で。
寂しく、笑っていた ――
「アスラン…」
桜が、舞う。
その花弁が。
「待って……!!」
その、姿を。
「もう、置いて行かないでよ ―― !!」
連れ去って、行く。
目が覚めた。
(夢……)
思わず苦笑いが漏れる。
ひどく笑いたい気分だ。
そして、ひどく泣きたい気分だった。
夢に出てきた相手は、自分のことが好きだから夢に出てくるといわれている。
(そんなの、嘘だ…)
もう、こんな自分を好きでいてくれるわけがない。
そんな都合のいい理由なんて、いらない。
(ただの、僕の我儘な願望に過ぎないんだ)
心の奥に閉じ込めすぎた、願い。
本当はきっと、とてもささやかな。
夢ならば、あんなに素直に言えるのに。
わかっている。
本心など。
とうの、昔に。
「夢でも、いいよ」
月の光は、優しく。
「傍に、居てよ……っ」
残酷な幻を、見せるから。
『キラは奇跡って信じる?』
―― 信じるよ。
『じゃあ、もしも、そんなことになったら…』
―― 信じ、させて。
願うことは罪ですか?
願うことくらいは、許されますか?
どうか。
どうか、もう一度 ――
--- 2003.4.1 ---
何かが、舞っている。
淡い、色の。
(花びら……?)
あの日。
自分と、キラの上に降った。
(桜…?)
輪郭はぼんやりとしたままで。
淡くて優しい光に包まれたまま、待っていた。
彼を。
「アスラン…っ」
キラは、自分の姿を見つけ、思わず駆け出してくる。
けれど、思うように進めない。
そして、自分も。
その場から動くことが出来ずに。
もどかしさに苛立ちながら。
言いようのない不安に、怯えながら。
やっと、キラが自分の許にたどり着く。
「アスラン……」
名前を呼ばれても。
少し悲しそうに、微笑んだまま。
(何から、言えばいいんだろう)
「キラは…」
ようやく口を開く。
「おまえは、人を疑うことを知らないから」
躊躇いがちに、瞳を伏せて。
「それはおまえのいいところだけど、同時に短所でもある」
伏せていた瞳を、今度は真っ直ぐにキラに向けて。
「おまえは、純粋すぎるから…」
そう言うと、キラの瞳が戸惑いがちに揺れる。
何かを言おうとしているのに、口を噤んで。
(だから、護りたかったのに)
汚れるのは。
この自分の手だけで、いいのに。
キラが思わず胸を押さえる。
痛みに耐えるように。
そして。
自分を見上げたその顔は。
今にも、泣きそうで。
伸ばされた手は、自分に触れることはなく。
(キラ……)
触れていいのに。
触れて、ほしいのに。
たとえ、その手が。
赤く、汚れていても。
伸ばしかけたキラの手を掴んで、自分の頬にあてる。
「キラ…」
どこまで堕ちても構わない。
ふたり一緒なら、それでいい。
「……て」
消え入りそうな、声が。
「…よ、アスラ……」
(何? キラ)
「僕…が、……まう…」
(聞こえない)
「………てよ…」
風が、吹く。
その音が、キラの声を掻き消してしまう。
(聞こえないよ、キラ)
必死に、聞き取ろうとするのに。
桜が、舞う。
花弁が、舞い散って。
淡い光が。
すべてを、隠す。
「キラ…っ」
この声は。
君に、届いただろうか……?
目が覚めた。
(夢……)
思わず苦笑いが漏れる。
ひどく笑いたい気分だ。
そして、ひどく泣きたい気分だった。
夢に出てきた相手は、自分のことが好きだから夢に出てくるといわれている。
(そんなのは、嘘だ…)
そうだとしたら、なぜキラは自分の許に来ない?
そんな都合のいい理由なんて、いらない。
(願望だ、ただの)
ずっと変わらない、願い。
本当はきっと、とてもささやかな。
「夢でも、いいさ」
月の光は、優しく。
「傍に、居たいだけなのに…」
残酷な幻を、見せるから。
『奇跡が起きるなら、祈るよ』
―― キラは祈った?
『じゃあ、もしも、そんなことになったら…』
―― 僕はずっと、祈ってる。
どれだけ願えばいい?
どれだけ祈ればいい?
どうか。
どうか、もう一度 ――
--- 2003.4.5 ---
「桜を、見に行きませぬか?」
控えめな誘(いざな)いに、山のように積まれた書簡から目を上げる。
微笑みと共に向けられた視線は、暖かい。
まるで、春の穏やかな空気のように。
(ああ、そうか)
忘れていた。
暦は、もう春を迎えていたではないか。
政務に追われ、降り注ぐ春の陽気にすらも気付いていなかったとは。
「そうだな」
やらねばならぬことは多いけれど、そこまで急を要するものでもない。
少しは休息も必要であろう。
それもまた、道理というもの。
「行くか、幸村」
言うが早いか、筆を置いて立ち上がる。
その声に居ずまいを正して、こちらを振り仰いだその顔は。
「はい、三成殿」
差し込む陽光よりも眩しく、笑んでいた。
「大丈夫でございますか?」
「……問題…な、い」
…忘れていたわけではない。
自分があまり酒に強い方ではないことも。
幸村が、滅法酒に強いということも。
けれど。
(致し方ないではないか)
見事としか言いようがないほどの、満開の桜。
そして、目の前には幸村が、穏やかな笑みと共に在るのだ。
そんな状況で、酌が進まぬはずもない。
けれど、幸村の前で酔いつぶれるという醜態を晒してしまったのは事実。
とは言え、幸村の膝を枕に、しばし横になる羽目になったことはやはり役得というべきか。
…などと、煩悶する頭に、ひやりとした感触が伝わってきた。
遠慮がちに額に置かれた幸村の手が、心地いい。
「申し訳ございませぬ…」
本当に済まなさそうな声に瞼を上げると、幸村がこちらを見下ろしていた。
何を謝る必要があるのだろうか。
三成が口を開くよりも先に、幸村が言葉を続ける。
「かなり根を詰めていらっしゃったご様子でしたので、せめて桜でも愛でて一息ついていただければと、思ったのですが…」
(しくじった…)
幸村のことだ、日々仕事に追われるこの身を案じ、気に病んでくれていたのだろう。
それすら気付かなかったとは、そんなに余裕がなかったのか、自分は。
けれど、心配をかけて済まなく思う反面、また、嬉しくもあった。
「それに」
ふと、幸村の目が寂しげな色を見せた。
「多少なりとも、ふたりで時を過ごせれば、と…」
そこまで言って、唐突に言葉を切る。
「…わたしも、少々酔ってしまったようです」
じっとその瞳を見つめると、慌てたように、ふいと幸村が顔を逸らした。
その眦は、ほんのりと色づいて。
(むしろ…)
―― 華は、そなたではないか。
思わず口を衝いて出そうになった言葉を飲み込んで、代わりに腕を伸ばす。
「み、三成殿!?」
「両手に花、とは斯様なことかな」
「お、お戯れは…」
焦った声が頭上から降ってくる。
そんな声に動じるはずもなく、幸村の腰に廻した腕に力を込めた。
こうしていると、幸村だけではなく、すべてをこの腕(かいな)に抱いているようだ。
天を覆うほどに咲き誇る桜も、そして、この日の本の国も。
(咲かせてみせようではないか)
戦場(いくさば)ではなく ――
この、腕の中で。
--- 2007.1.23 ---
「…何故、消えぬ」
ぽつりと漏らしたその呟きは、誰の耳にも届くことはなかったであろう。
つい先ほどまでの喧騒は、もうそこにはない。
そこに在るのは、かつて生者であった者たちの抜殻ばかりである。
戦場(いくさば)特有の血の匂いも、先ほどから降り出した雨で薄れつつあった。
けれど、未だ消えぬものも、ある。
『幸村愚鈍なれば、言葉にて返答あたわず。利根なる政宗様にはわが槍をご覧なるべし』
およそ皮肉など似合わぬその者が口にした言葉。
その言葉が、その槍が、この心の奥の何かを打ち砕いた。
そして ―― …
「何故消えぬ…!!!」
在りし日のその姿が、その声が、陽炎のように ―― 消えない。
豊臣に膝を屈した折、戦場以外で幾度かその姿を目にすることがあった。
戦場で見る燃え盛る炎のような姿からは想像もつかぬほどに穏やかな空気を纏い、まるで華のような笑みを湛えていた。
その笑みを向けていた相手は、ただひとり。
そして、秀吉亡き今、徳川に付いたこの自分に向けられた、その槍と違わぬ鋭き視線。
そこに漂うは、悲哀か、憤怒か、絶望か。
(いや、違う…)
その瞳に宿したものは。
ただひとり笑みを向けた彼の者への、……深き想い。
「三成は敗れたのだぞ」
今はもう動かぬ、その指先を見つめたまま。
「そしておまえも、……幸村」
言葉と共に、何かが頬を滑り落ちる。
雨は段々と激しさを増しつつあった。
「涙など…わしは、……知らぬわ…っ」
…そう、知らなくていい。
この心に燻るものの意味など。
―― 降れ。
「降れ…もっと」
(泣けぬわしの代わりに)
この心に立ち込める、陽炎のような、その想いを。
向けられることのなかった、その微笑みを。
時に眩しくさえあった、その姿を。
消し去るほどに。
激しく。
「もっと降らぬか! このわしが竜となり、天へ昇れるほどに」
……そう、すべてを。
消し去って、しまえるように。
--- 2007.1.24 ---
―― 春の陽気は、魔物が潜んでいるのやも知れぬ。
そうとしか思えない。いや、きっとそうだ。
でなければ、こんなに仕事に集中できないはずがないのだ。
本日幾度目かになる欠伸を噛み殺しつつ、三成は軽く頭を振った。
どうも調子が出ない。
文机に広げられた紙はまだ白いまま、やるべき仕事は一向に捗っていなかった。
その事に軽い苛立ちを覚えつつも、気付くとまた手が止まっている。
「……外の空気でも吸うか」
筆を置き、縁側へと向かう。
春独特の暖かい日差しと、柔らかい空気。
そして、春風が運ぶ花の香りに、暫し忙しない日常を忘れそうになる。
「たまには、悪くない」
春の陽が差し込む庭へと目を遣りながら、柱に背を預けて座る。
この隣に幸村が居れば文句はないのだが…、などと思いつつ、三成はぼんやりと春の景色を眺めていた。
―― 春の陽気は、人を幸せな気分にするのやも知れぬ。
道行く人々の活気に満ちた顔を目にすると、自然と口元も綻ぶ。
つい先日まで、昏く重い空気が、人々の頭上にのしかかっていたというのに。
その元凶であった、戦国の世。
それを終わらせた彼の人の事を想うと、頬を掠めていく春風のように、心も暖かくなる気がする。
きっと三成は、今日も屋敷に閉じ籠もって政務に励んでいることであろう。
こんなに天気もよく、気持ちのよい春の日に、それは余りに勿体なさ過ぎるではないか。
差し出がましいとは思いつつも、こんな日くらいは暫し政務を忘れても罰は当たるまい。
机に向かいっぱなしで体がなまっているというのであれば、喜んで剣の相手も務めよう。寧ろ、手合わせ願いたいくらいである。
そんな事を思いながら、幸村は三成の邸宅へと向かう足を速めた。
「三成殿…?」
そっと声をかけてみれども、その姿は微動だにしない。
怪訝そうに三成の顔を覗き込んだ幸村であったが、すぐにその表情が優しいものへと変わる。
三成がこのように、縁側で無防備に転寝をするなど滅多にないことだ。
(…きっと、疲れてもおいでなのだろう)
起こさないように、その隣へ幸村はそっと腰掛けた。
暖かい春の陽気に、いとも容易く眠気に誘(いざな)われる。
(こんな風に…)
こんな風に、穏やかな空気の下、無防備に眠るなど、以前なら考えられなかったことだ。
それを可能にしたのは、他ならぬ三成だ。
勿論、それは三成一人が成しえたことではないけれど、それでも導いたのは紛れもなく彼である。
そしてまた、こんな風に。
彼の隣に居られることを、嬉しく思う。
「ありがとう、三成殿」
その囁きは、春風に紛れるように消えていった。
おまけ。
―― 春の陽気は、人を惑わせ、怠惰にさせるのだ!
「仕事は進んでいるか、三成!!」
勢いよく襖を開けてみても、そこにあるはずの主の姿がない。
「三成? おらぬのか?」
ずかずかと部屋を横切り、縁側へと続く障子をこれまた勢いよく開ける。
「何をしているのだ、おまえたちは!」
呆れたような声を上げる兼続の視線の先には、まるで猫のように身を寄せ合って昼寝をしている三成と幸村の姿があった。
常日頃から大きいと言われる兼続の声にすら、微動だにしない。
それどころか、すやすやと気持ちよさそうな寝息まで立てている始末。
「三成、幸村、起きろ! このような場所で寝ていると、体を壊すではないか!」
「……兼、続…殿…?」
寝惚けたような声で名を呼びながら、幸村がようやく身を起こす。
まだ覚醒しきっていない目を兼続に向けながら、
「…おはよう…ございます……」
こどものようにあどけなく笑った。
「何を呑気なことを…」
「ん……」
くぐもった声が、兼続の呆れた声に被さる。
幸村が起き上がった拍子に、三成もまた身じろぎをしながらうっすらと瞼を上げた。
「三成! ようやくお目覚めか! 一体おまえた…」
「邪魔をするな…!!」
「うぐ…っ」
兼続の長身が、突如幸村の視界から消えた。
寝惚け眼の三成が懐から取り出した扇子が、兼続の額に見事に命中したのである。
「か、兼続殿!? 三成殿!!!」
一瞬にして眠気が吹き飛んだ幸村を余所に、三成は再び眠りに落ち、兼続は目を回していた。
……平和な春の日の情景、であった。
--- 2007.1.26 ---
それは、昏く。
伸ばした指先が何かを探るよりも速く、その先を呑み込んでしまうほどに。
昏い ―― 闇。
この心の奥深く、まるで澱のように滞って。
脱け出そうともがけども、蜘蛛の巣のように絡みつき、そして。
身動きのとれなくなった心を、蝕んでいく。
やがては、すべてが闇の中へと。
「……っ」
声にならない声を上げて、幸村は思わず跳ね起きた。
荒い呼吸を繰り返し、どくとくと波打つ血流を落ち着かせるように胸へと手を当てる。
夏でもないのに、寝着は汗でしとどに濡れていた。
灯された明りもとうに消え、部屋は暗闇に包まれている。
まるで、先ほど見た夢のように。
(またか…)
このように、夢に魘され真夜中に起きるのは何度目だろう。
胸の内に巣食った闇を吐き出すように、幸村は大きく息を吐いた。
明日も早いのだから、しっかりと睡眠を取らねばとは思うのだけれど、どうにも眠る気になれない。
もしかしたら、あの闇に捕らわれるのが怖いのかも知れない。
だから、瞳を閉じることすら、ままならずに。
「情けない…」
思わず口から零れた言葉に、苦い笑みが浮かぶ。
緩く頭を振ってから、幸村は布団を抜け出し、そっと庭に面した格子を開けた。
丸い月が、虚空に浮かんでいる。
(ん…?)
月明かりに照らされた影が、こちらを振り向いた気がした。
「どうした。眠れないのか?」
「三成殿…?」
段々と宵闇に慣れた目が、その姿を捉える。
「どうされたのですか? こんな刻限に…」
先に問われていたのは自分であることを忘れ、幸村は思わず疑問を投げかけていた。
「ふと空を見上げたら見事な月だったからな。…気まぐれだ」
「そう、ですか…」
恐らくは明日の陣の采配などで、とうてい眠りに就くなどできなかったのであろう。
自分などが労いの言葉をかけるなどおこがましい気がして、幸村は短く応えるしかなかった。
「それで? おまえはどうした」
「あ、ええ…」
どう説明していいのか答えあぐねていると、その答えを待たずに三成が先に口を開いた。
「…おまえは、時々ひどく辛そうな顔をするのだな、幸村」
「え…」
思いもよらぬ言葉に顔を上げると、三成の強い視線とぶつかった。
いつもの斜に構えたものと違う、どこか憂いを帯びた瞳で。
「大一大万大吉」
「は…?」
「意味を言ってみろ」
唐突な言葉に戸惑いつつも、幸村は一語一語をはっきりと声に出して答える。
「ひとりが皆のため、皆がひとりのために尽くせば、天下泰平になる、と…」
「そうだ。…だから、おまえひとりが全てを背負おうとする必要はない」
「……っ」
……月が。
「何もかもをひとりで、守ろうとしなくてもよい」
三成の端正な顔を照らしている。
「おまえには俺がいる。…兼続も、慶治も」
そして、その光が。
この心の奥にまで、差し込んで。
あの昏き闇を、覆い尽くすほどに。
「…はい」
「明日も早い。早く床に就け」
「はい、三成殿」
「いい返事だ」
ふっと笑んだ三成の顔が、月の光に溶け込んでいく。
(ああ、きっと…)
―― きっと、もう。
あの夢は、見ないだろう。
光が、照らしてくれるから。
--- 2007.1.27 ---
どこまでも、白く。
白く塗りつぶされた、世界。
出口の見えない ―― 白い闇。
+
「寒っ!!!」
「ほら、いい加減起きろ!」
やや乱暴に布団を引き剥がすと、幸村は微かに残った暖を守るかのように更に身体を丸めた。
「ゆ~き~」
「寒いーーー!!!」
往生際の悪い幸村に、政宗は軽く溜息を吐いた。
まあ、いつものことではあるのだけれど。
「…そんなに寒いなら、今すぐ熱くなるようなこと始めるか?」
「……っ!!」
丸まったままの幸村に覆い被さりながらそんなことを言ってみる。
すると、幸村の身体が強張るのがわかる。
「お、起きる!!!」
「んー? 俺は別に始めてもいいんだけどな」
「起きるってば!!」
慌てふためく幸村は、既に耳まで真っ赤になっていた。
その様子がおかしくて、ついついもっといじめたくなってしまう。
「いいぜ、起きなくても」
「政宗! 起きるから!!」
笑いを噛みしめながら、紅く染まった頬に軽くキスをして起き上がる。
幸村はと言えば、恨みがましい目をこちらに向けていた。
「なんだー? さっさと起きないおまえが悪いんだろが」
「…それはそーだけど…」
尚も不服そうな幸村をその場に残し、キッチンへと足を向ける。
すっかり冷えてしまったであろう朝食をもう一度温めねばならない。
そんなことを考えながら寝室の扉に手をかけると、突如背中に重みを感じた。
「…幸?」
「寒いー…」
「……俺は湯たんぽか?」
暖を求めて、幸村が背中から抱きついていた。
「ほんっと、おまえは寒がりだな」
『ほんっと、アンタって寒がりだな』
「…なんか前にもそんな事言われた気がする…」
抱きついたまま、幸村が呟いた。
「……幸」
「何?」
「…よっぽど別の事始めたいらしいな」
「……着替えてくる!」
そう言ってぱっと手を放したかと思うと、政宗を追い越して暖房の効いた居間へと飛び出していく。
そんな姿に、政宗はやれやれと溜息を吐いた。
「寒い…」
「…今日はそればっかりだな」
さくさくと足元から小気味の良い音が零れる。
真っ白に染まった道路に、ふたり並んで足跡を付けていく。
けれどすぐに、それさえも降り続く雪が覆い隠していく。
振り仰いだ空は、白に近い灰色の雲に覆われていた。
「雪凄いね。白くて何にも見えない感じ」
そこまで激しく降っているわけでもないのに、空との境界がわからないほどに白く塗りつぶされている。
その景色には覚えがあった。
ぞくり、と厭な震えが這い登ってくる。
(まるで…)
これは、まるで。
「ね、政宗。白夜ってこんな感じなのかな」
「どうかな。…けど」
昼と夜との境界さえ、わからない。
明けない、夜。
それはまるで、幸村に出逢うまでの自分。
明けない夜が明けたのは、あの日。
舞い降りた花びら。
風に乗って運ばれたその桜の花びらが。
世界に、色を与えた。
「政宗?」
「…なんでもねーよ」
心配そうに袖を掴んできた手を、そっと自分の掌で包む。
そこからじわりと伝わる温もりに、震えも消えていく。
(大丈夫だ)
明けぬ夜はないと、もう、識っているから。
--- 2007.2.3 ---
……納得いかない。
「なんだ、幸。眉間に皺寄せて」
「………」
怪訝そうな顔が、徐々に悪戯っぽい笑みに変わる。
政宗の次の言葉が容易に想像できて、それがより一層幸村の不満を煽った。
「思った通り、だな。これもなかなか…」
「…誰のせいだよ、誰の!!」
今、幸村が着ているのは政宗のTシャツ1枚、である。
それと言うのも、(何故か政宗の部屋に常備されている幸村専用の)パジャマが使い物にならなくなってしまったから、なのだった。
勿論、理由はひとつなのだけれども。
だが、幸村が不機嫌な理由はそれだけではない。
借りたシャツが、思ったよりずっと大きかったのだ。
幸村が着ると、それこそちょっと短めのワンピースのような丈になるくらいに。
確かに政宗の方が背が高い。
けれど、自分だってそんなに小柄な方ではないのに。
恨みがましく政宗の方を見ると、まだにやにや笑ったままで。
(…悔しい……)
一見するとスマートな体格の政宗だが、それが着痩せして見えているのだということを、幸村は何よりも誰よりもよく知っている。
綺麗に筋肉のついた、鍛え抜かれた身体。
「……っ」
そこまで思い至って、思わず先ほどまでの情景が脳裏をよぎる。
途端に頬がカッと熱くなるのがわかった。
「幸村」
隙あり、とばかりに政宗が手を伸ばしてくる。
「今日はもうしない!!」
「ンな事言うなって」
易々と抱き込まれてしまうのは、体格差からだけではないにしても。
「…絶対おっきくなってやる…」
「AH? おまえはそのままでいんだよ、幸」
触れてこようとする唇を、先手を取って自ら塞ぐ。
まるで、その野望に誓いを立てるかのように。
(負けるもんか…!)
―― いつか絶対、政宗より大きくなってやる!
--- 2007.2.3 ---
(あ、そっか…)
コンビニの一角に設けられた可愛らしいディスプレイの前で、幸村はぴたりと足を止めた。
「どうした? 真田」
「あ、いや…」
怪訝に思ったのか、同じく買出組の部活仲間がつられて足を止める。
幸村の視線の先にある物に気付いて、揶揄かうような声を上げた。
「なんだよ、真田。いくら甘いものが好きだからって、まさか自分で買ったりとか…」
「するわけないだろ!」
「だよな~」
そう答えつつも、複雑な思いで幸村はその特設コーナーに一瞥をくれた。
(やっぱ、…あげなきゃ、だよな)
そんな心を知るはずもなく、話題は唐突に心を占める相手のものへと変わっていく。
「でも去年のバレンタイン、凄かったよな~、伊達先輩」
「…そう、だね…」
「俺、初めて見たぜ! 漫画みたいに、下駄箱開けたらチョコがどばーっと落ちてくるってやつ」
あんなのほんとにあるんだな、と妙に興奮した口ぶりに、幸村は内心でこっそり溜息を吐いた。
当然、誰にも自分がその噂の伊達先輩と付き合っているなどと告げてはいない。
だから、目の前の相手は知るはずもないことだ。
けれど。
(どうしよう…)
誰に相談するわけもいかず、幸村は頭を抱えた。
政宗は、とにかくもてる。
顔良し、頭良し、おまけに運動神経抜群と三拍子揃っていれば、さもありなん、ではあるのだけれど。
だから、確かに仲間の言うように、去年のバレンタインは凄かった。
甘いものが好きじゃない政宗の周りに、チョコが溢れ返っていたのだ。
げんなりと疲れきった政宗の顔は今でもよく覚えている。
政宗なりにポリシーはあるらしく、手渡しは受け取らない、置いてあるものでも名前が書いてあるものは返しに行く、というように。
それなのに、それでもチョコに塗れていたのだ。結果として、匿名のものばかり。
その日の放課後、辟易しながら大量のチョコを抱え、政宗は部活に現れたのだった。
そしてそのチョコの山はといえば、剣道部員のおやつとなったのである。
当然、幸村もその恩恵に預かったのではあるけれども、なんとなく相手に悪い気がして、こっそり政宗に声をかけた。
すると、政宗は溜息混じりにこう言ったのだ。
「甘いものは好きじゃないしな。捨てるのも勿体ないし、それならみんなで食った方がいいだろ? それに…」
ふっと真剣な眼差しを向けられて、どきりとひとつ胸が鳴った。
「好きな相手以外から貰っても…意味、ないしな」
何故かその言葉を聞いた時、ずきりと胸が痛んだような気がしたのだけれど。
(あ、なんだ…)
そこまで思い出して、幸村は思わずひとりごちた。
「そっか、俺…あの時もう…」
今なら、あの時の胸の痛みの意味がわかる。
…そして。
バレンタインを前にした、世の女の子の気分も。
「どしたの、旦那。思いつめた顔しちゃって」
「…佐助…」
あまりにどんよりとした空気を纏っていた所為か、家へ帰るなり、開口一番そう言われてしまった。
気付けば日に日に街は、益々バレンタイン色に染まっていっている。
そこかしこで、可愛らしいラッピングのチョコと、それを買い求める女の子達で溢れ返っていた。
さすがに、高校生の男があの中に混じってチョコを買うなど憚られる。
というか、そもそも政宗は甘いものが好きではないのだから買っても…
いやいや、でも、去年あんなことを言っていたし、もしかしたらチョコを待ってるかもしれないし…
いやでも……という具合に、延々問答を繰り返していたら、傍から見るとすっかり憔悴しきっているようだったらしい。
「佐助!」
「うわ、何だい」
考えすぎて、袋小路に嵌り込んでしまった。もうここは、恥を忍んで佐助に頼むしかない。
政宗とのことを自分から告げたわけではないけれど、佐助だけは唯一ふたりの仲を察していた。
「バレンタインのチョコを買ってきてくれ!!!」
「……は?」
突然頭を下げられて、佐助は返答に窮したけれど、それからすぐにピンときたらしい。
いやに思いつめてると思ったら…などと言いながら、その声は笑っていた。
「…なぜ笑う…」
「いや、だってさ」
恨みがましく見上げると、申し訳なさそうな目で、それでもまだ佐助は笑っていた。
じっと睨めつけると、慌てて真顔になる。
「でもさ、旦那。俺様が買っていいわけ?」
「え…」
「やっぱさ、自分で行動起こしてなんぼじゃないの? 特にこーゆーイベントってさ」
(あ…)
やんわりと諭されて、大事なことを忘れていたことに気付く。
何の為に、自分は政宗にチョコを贈ろうとしていたのだろう。
(政宗が…喜んでくれたら)
本当は、それだけでいいのに。
―― 結局。
(何も思いつかなかった…っ!)
時間というものは、斯くも無情なものなのか。
気付けばあっという間に時間は過ぎ、バレンタイン当日を迎えていた。
重い気分のまま、学校へと向かう。
何人かの女の子からチョコを渡されそうになったけれど、丁重にお断りをする。
(ごめんね)
今年は、今日という日を迎えるまでの相手の気持ちもより一層わかる気がした。
だからこそ、余計に受け取れない。
(……どう、しようかな…)
考えても考えても、いい答えが浮かばない。
そうこうしているうちに、授業も終わってしまった。
とぼとぼと政宗の部屋へと向かいつつ、マンションの前でぴたりと足を止める。
「………」
それからくるりと体を反転させ、向かいのコンビニへと飛び込んだ。
「あれ?」
ドアを開けると、何故か甘い匂いが鼻を擽った。
「よぉ」
その匂いにつられてキッチンへとまっすぐ向かうと、そこにはエプロン姿の政宗がいた。
「わ…、すごい……」
テーブルの上に鎮座ましますのは、できたばかりという感じのザッハ・トルテ。
聞くまでもなく、政宗が作ったのだろう。
三拍子揃っているだけでなく、料理まで上手いのだから手に負えない。
幸村が目の前のケーキに見惚れている間に、政宗はてきぱきと道具を片付けていく。
「もう食うか?」
「うんっ」
「味の保証はしねーぞ? 何て言っても俺は味見できねーからな」
「あはは、大丈夫だよ」
甘いものが苦手な政宗だから、味見どころか作る間の甘い匂いも辛かっただろうに。
それもこれも自分のため、と思うと、余計に胸が締め付けられる。
(それに引き換え、俺は……)
「美味しい…」
「そうか」
「ありがと、政宗」
ちょっと泣きそうになりながら政宗を見上げると、政宗も微笑っていた。
…嬉しそうに。
(そう、だよ…)
自分も、同じ。
―― 喜んでほしい。
喜んでくれたら、自分も嬉しいから。
「あの、ね。政宗…」
「ん?」
改まった口調の幸村に、自分用にコーヒーを淹れていた政宗が手を止めて向き直る。
「あ、あのさ。その…、俺、どうしたらいいか、わかんなくて…」
「……」
「政宗、甘いもの好きじゃないし。けど、俺…」
しどろもどろに懸命に説明しようとする幸村の言葉を遮ることなく、政宗はじっと黙って言葉の先を待った。
「その…結局、ここ来るまで何も思いつかなくて」
そう言いながら、鞄の中に放り込んでいたコンビニの袋をがさがさと漁る。
そうして取り出したのは、一枚の板チョコ。何の飾り気もない、普通のビター。
銀紙を破って、パキンと割る。
それからその欠片を口にして、徐に政宗に口付けた。
「ん…」
互いの舌の上で、チョコレートが溶けていく。
口の中に広がる、ちょっとだけ苦くて、甘い味。
「…サンキュ、幸」
そっと唇を離すと、心なしか嬉しそうな声でそう言われて。
おずおずと見上げると、政宗は微笑っていた。
…嬉しそうに。
(あ…)
―― 喜んで、くれたなら。
けれどすぐに、その笑みが悪戯っぽいものへと変わっていく。
「その欠片、全部、食わせてくれるんだろ?」
政宗が指差した先にあるのは、先ほどのビターチョコ。
欠片は悠に10個はある。
にやりと笑う政宗の顔とチョコレートを交互に見てから、幸村は途端に耳まで赤くなるのを感じた。
自分からキスするなど、滅多にない。
滅多にないのだけれど……
紅い顔で、ちょっと上目遣いに政宗を睨んだまま、幸村は次の一欠片を手に取った。
―― 喜んで、くれるなら。
そっと瞳を閉じる。
口の中に、またチョコレートの味が広がっていく。
苦いけど、甘い味。
--- 2007.2.14 ---
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真性アスキラー。
思いもよらずダブルOが歴代G
の中で一番好きな状況に。
成層圏の向こう側まで狙い
撃つ兄貴を愛してやまず。
BAS●RAの影響で戦国史に
どっぷり。VIVA眼帯。
えろすきーだけどホモスキー
に非ず。
オフラインでは【絶対零度】
というサークル名で活動中。